　読書は一見すると、ポルノ依存症に対する有効な対策とはあまりなり得ないだろうという感覚を持ちがちですが、実は、脳科学の観点からすると、これが極めて有効な対処法であると言うことが出来ます。

　例えば、読書は脳のストレスレベルを低下させます。ある研究では、動画を視聴するよりも、ネット記事を読んだ方がストレスレベルが低くなったという記述がありました。ストレスが大敵となるポルノ依存症でありますから、ストレスを低下させる読書は、極めて有用な対策であると言えるでしょう。

　また、読書は前頭前野の働きを活性化させます。前頭前野の強化は、第６章でもお示ししました様に、ポルノ依存症克服にとっては必須のことです。したがって、読書はポルノ依存症にとっては大変有効な対策であると、この観点からも言える訳です。

　しかし、読書には注意すべき点があります。それは、読書の内容です。例えば、読む本としてフィフティ・シェイズ・オブ・グレイを選択したとしましょう。一応この作品は一般小説に分類されますが、性的描写が多分に含まれます。よって、これはポルノです。また、読む本によっては、読書はトリガーとなりかねない危険な行為となりえます。よって、読書を行う際には、読む本の内容に性的な内容が含まれているか否か、十分に精査することを心掛けましょう。そうすることによって、我々は読書から多大な利益をノーリスクで得ることが出来ます。

　なお、前頭前野は推論能力等も司る部位でもあることから、筆者は小説よりも（推理小説は別として）推論能力を用いる機会の多いノンフィクションのお硬い本を読むのをお勧めします。例えば、性的要素の多いポストモダン思想を除く思想書・哲学書や、これもまた性的要素のある密教を除く仏教書、または、科学読み物等が、お勧めです。特に、原始仏教に関する仏教書はそのまま依存症の本質や対策が書かれている側面があるため、一読されると良いと思います。