僕と君
僕は君が好きだった。でも、その想いを伝えるには踏ん切りがつかなくて。
悩んじゃうんだよ、こんな僕でもいいのかなって。
最後の最後「ありがとうね」なんて言われたから「また行こうね」って返そうとしたのに、その一言がどうしてものどから出てきてくれなくて。
肯定の意味で、笑って見せるのが僕には限界だった。
その日から君は変わった、気がする。
今までよりも自分を押しとどめるような、そんな感じだった。
本心を僕から遠ざけて、あたかも楽しそうに振舞って。好きだった君の猫の話も聞けなくなった。
思い当たる節なんて一つしかない。君から見たあの時の僕はどんなだったんだろう。もしかすると曖昧に笑ってはぐらかしているようにでも見えたのかもしれないな。
本当は君の心の鎧を無理やりにでも剝がしてやりたかった。だけど、君は憑き物が落ちたかのようで、まるで今の君こそが本当の君みたいだった。
言えないよ、とうてい。僕は君が君らしく生きていてくれるのが一番うれしいんだ。
あぁ、虚しいよ。僕にできるのは言い訳がましく自分の想いにただ蓋をすることだけだったんだから。
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