第4話 Canon(カノン)

くだらない話だと思うだろうか。

気持ち悪い話だと思うだろうか…。

でもこれが2人の日常。


そういえば僕ら2人が…何歳の頃だろうか。

凄く流行ってた韓国の映画があってその映画にハマってた。


その中で流れてたサウンドトラック、また、女優さんが弾いていた『カノン』がとても好きになった。


それに改めて大人になってから触れる機会があった。

その時、凄く…こう…胸がしめつけられた。


…そんな僕を彼女は優しく包み込んでくれた。


苦しかった。

繰り返し見ていたその時も、改めて見たその時も、僕は…変わらず彼女が好きだった。

彼女も変わらず暖かくて優しかった。


―――――――――――――――。


「侑海。」

「ん…?」


映画を見終わる頃、彼女は僕の腕の中にいた。


「愛してるよ。」

「俺も。」


僕らは『恋愛』を超えている。

言うなれば、『家族』。またはそれ以上。


「麗華…」

「うん。」

「…ずっと傍にいろ。絶対逃がさねぇから。」

「今のあんたなら大丈夫かな。もう子供の頃とは違う。」

「そりゃそうでしょ。安心して欲しい。もう誰にも渡さないから。」

「うん。」


――――――――――――――――――。


を無くす恐怖、孤独はもう沢山だ。

ずっと僕の隣でうだうだ話してて欲しい。

そんな人だ。



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