本編②-5

ねぇ、聴いて。

これは、俺と愛しいあいつの物語。



自分の性が普通じゃないことを誰にも相談出来なかった俺にとって、

大学受験に失敗したことは、

俺の自己肯定感をさらに減殺げんさいさせた。


それが引き金になって、

俺は両親がいない時間を狙って、

この虚しさを埋めてくれる人を探した。


初めての男は、30代後半のサラリーマンだった。経験のない俺を最初から最後まで優しく抱いてくれた。2人目の男は、20代後半の豪酒だった。無理やり飲まされてそのまま犯された。

3人目の男は、中学の時の担任だった。わざわざ制服を引っ張り出してきてセックスをした。


こうやって俺は、あいつへの最低な気持ちを誤魔化した。


でも、

何人目かの相手といるのをあいつに見られたときは、さすがに動揺してしまった。


あいつの「頭が良くてかっこいいさくやお兄ちゃん」の像はきっと崩れ落ちてしまっただろう。そもそも、もう慕ってくれてはいないのかもしれない。


お前が褒めてくれた灰色の髪も、

今じゃ、錆びたブロンドだ。

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