本編①-7

ねぇ、聴いて。

これは、俺とあの人の物語。


偶然に、咲也くんのお母さんとすれ違った。

「あらぁ。大きくなったわね。」

なんておばさんは笑って家に招き入れてくれた。

「せっかくだから、家でご飯食べてって。」

俺は、おばさんの言葉に甘えて、

あの人の帰りを待った。


玄関の扉が開く音がした。

あの人が大学から帰ってきたんだ。

「母さん、ただいま。」

そう言って、咲也くんはリビングに入るや否や

俺を見て驚愕してた。


3人で食卓を囲む。

おばさんは、何も知らないようで、

昔の話を懐かしそうに話した。


咲也くんはずっと、気まずそうな顔で

苦笑いを浮かべていた。


俺とは目も合わそうとしなかった。

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