アリスと王子様達
学校生活が始まってから1週間が経過した。
メアリちゃんやアナちゃんの他にも友達が増えたが、基本私達は3人行動だ。
男の子は男の子で、女の子は女の子で集まる傾向がある。
そんな中でも人気なのはこの島の王族で今の王様の末弟さんと今の王様の次男が私達の世代で一緒に勉強している。
ワロン王国なので名前の後ろにワロンが付く。
末弟さんはフラー·ワロンさん、次男さんはルノー·ワロンさんと言い、両方共に金髪碧眼で色白な肌を持つ。
そして王族は日常的に強い魔物の食材を食べているので魔法が強力になりやすい……らしい。
まぁワロン王国での王族特権は現王から三等親までと決まっており、遡れば王族だったみたいな人も多く、ワロン王国全体の魔力総量の引き上げに血統的意味合いで貢献していたりする。
あと王族は強くあれという家訓があるらしいので王族でも冒険者に混じってダンジョンアタックをする。
幼少学校を卒業したら他の島に高等教育を受けに行く王族もおり、専門的な知識を持つのも王族である。
政治的というよりはその国家の最高戦力であることが多いらしい。
ちなみに2人は別のクラスなのだけど、私に声を掛けてきた。
「やぁスチュワートさん」
「スチュワート……あ、私ですか? え? お、王子様方!」
「はは! 王子様だってよ」
「僕らはフラーとルノーだよ。王族ってのもこの島では殆どの人々が王族の血を引いているから皆家族みたいな者だ。気軽にフラーとルノーって呼んでよ」
「じゃ、じゃあ私もアリスって呼んでもらっていいですか?」
「うん! アリスよろしくね」
「は、はい!」
「いやドラゴンスレイヤーの娘さんがどんな人が確かめたくってね」
「ドラゴンスレイヤー?」
「アリスのご両親のジンさんとアンさん、そしてジーク教官にこの島には居ないけどコールさんの4人はドラゴンを多く狩った有名なドラゴンスレイヤーなんだよ! 憧れるなぁ」
「お父さんとお母さんは自分より強い人も多かったって言ってたけど……」
「いやいや、普通の人の限界点が彼らだよ。それ以上は伝説に出てくるような英雄達だけだよ……やっぱり娘のアリスも良質な魔力を放っているね。寝る前に筋肉に魔力を練り込むトレーニングしているでしょ」
「わかるの?」
フラーさんが
「わかるわかる。王族は相手の力量を測る魔法を幼い頃から徹底的に叩き込まれるんだよ。魔物に遅れを取らないようにね」
そう答える。
ルノーさんも
「と言っても相手の魔力を測るのは学校でもそのうち習うことだけどね。良かったらアリスも覚えてみる?」
と言われた。
私は是非ともと即答した。
フラーさんとルノーさんは私みたいに生まれつき魔力を持っていたらしく、王族は基本全員が魔力持ちで生まれるのだとか。
先王が魔力持ちの仕組みを研究した学者気質の人で、両親の魔力が一定以上あることと、使える魔法属性のダブりが3種類以下だと魔力を遺伝しやすいらしい。
確かにお父さんとお母さんの得意な魔法属性はお父さんが炎と水、お母さんが雷と水の属性なので水属性のダブりが1つで2人ともドラゴンを狩れる実力なので魔力持ちの魔物を沢山食べて魔力総量が人よりも多いのだろう。
「あれ? ということは天才って言われる人の5属性とか6属性を操れる場合は次世代には遺伝しづらいってこと?」
「そういうこと! だからそういう人はダブりが2属性以下になるような相手と結婚する人もいるんだって。王族とか貴族って言われる人はそういうのも考え無いと行けないらしいけどね。僕らには関係無いけど」
「あれ? フラーさんとルノーさんは関係あるのでは?」
「僕達は後継第一位のワロー兄さんが居るからそこまで気にしなくて良いんだよね。所詮兄さんのスペアだし、ワロー兄さんがの結婚さえ決まれば僕らは好きな人と結婚して良いってお父さんから言われているし」
「そうそう。兄さん(王様)から僕もそういわれてるんだよね」
こうして話してみるとお二人は感覚が庶民というか距離が近いというか……。
「まぁ僕らのやる事は冒険者と一緒にダンジョンの間引き作業をすることだからね。それにお父さん(王様)が常々島民は家族だから偉ぶるなって言われているし」
「そうそう島民あっての王族だからね」
「へぇ……」
絵本とかの偉ぶる王様の物語とか、他の島で冒険したお父さんとお母さんは王族とか貴族で苦労した話しを聞いたことがあるので、もしかしたらジークおじさんも王族が親身になって島の事を考えているからこの島に永住するって決めたのかもしれない。
私は王子様達に魔力の探知する魔法を教えてもらい、お礼を言ったらまた機会があればお父さん達のお話を教えて欲しいって言われた。
なんならお父さん達に聞く? って聞いたら邪魔じゃなければ家に行って直接聞きたいって言われた。
お父さんとお母さんに王様達を招待しても良いか聞くねと言ってその場は解散になった。
この島で住んでいる人は食べる食事の関係でほぼ水属性の魔法を使えるようになるので、最初に覚える魔法は真水を生み出す魔法を勉強する。
「この島が農作物がよく育つのは農家の皆さんが水を生み出す魔法を覚えていることも大きな要因なのですよ! 真水を生み出せれば畑の水やりが楽になりますし、日曜生活でもタンクに水を蓄えられますからね」
とリリー先生が教えてくれる。
冒険者となった時にもダンジョンで海水を真水に濾過する鉱石がよく流通しているらしいが、濾過する時間が結構かかるので船で他の島に移動する時に水属性の魔法を使える人を金をかけて雇うこともあるらしいくらい重宝されるらしい。
ダンジョンの長期アタックでも飲水に困らないのでありがたがられる事が多いとリリー先生は力説する。
リリー先生も昔冒険者をしていた時にその縁で旦那さんをゲットした経験があり、女の子も男の子も水属性を覚えられるこの島の環境に感謝しなさいって言われた。
私は魔力総量的にあっという間にバケツに次々と水を溜めていくし、家の手伝いとして貯水タンクを満タンにできるほど水を生み出せるが、魔法を習い始めたばかりのメアリちゃんやアナちゃんとかはコップ1杯の水を生み出すだけで魔力が枯渇してしまった。
「ハァハァ……アリス凄すぎ……」
「アリスちゃん……凄い……疲れないの?」
「これぐらいなら毎日水を出してるから疲れないよ。私も最初の頃はコップ1杯の水を苦労して出してたから最初はこんなものだよ」
「な、なるほど」
「頑張らないと……」
こんな感じで魔法の勉強も進んでいくのだった。
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