アリスと学校
時は流れて幼少学校に入学する季節となった。
毎年6歳になる年齢になった子供達が同じ時期に町や村の子供達が幼少学校にやってきて4年間教育を受けることになる。
卒業したら冒険者になったり家業を継いだりすることになり、この幼少学校で初歩的な魔法の扱い方や上層の魔物の対処法等を覚えて身を守る術を身につける。
今年は約90人の子供達が入学し、3つのクラスに分かれて授業を受けることになる。
ちなみに幼少学校は島の中央近く……王城にほど近い場所にある。
「アリスとアナと一緒のクラスで良かったね!」
「そうだねメアリちゃん! アナちゃんもよろしくね」
「よろしくアリスちゃん、メアリちゃん!」
私達の他にも男子達や女子達が各々グループを作ってお喋りをしていると、教師の先生がクラスごとに子供達を引き連れてクラスに移動していく。
クラスに移動すると机と椅子が置かれており、名札が置かれていた。
自分の名前は分かるので、自分の名前の所に座っていく。
「はい、改めましてこんにちは! 勉強を教えるリリーです! 皆よろしくね」
「「「はーい!」」」
元気な声が教室に響き渡る。
「ワロン幼少学校で皆さんは4年間勉強をしていきます! 言葉や計算、島の歴史、魔法の勉強にダンジョンについて学んでもらいます」
「1日5時間。希望があれば居残りで勉強することができるので頑張りましょう!」
「「「はーい!」」」
こうして私の学校生活が始まったのだった。
学校での1日の流れは午前8時から始まる。
朝の掃除をしてから鐘の合図でホームルームが始まり、出席確認をしたら8時30分から授業が始まる。
私のクラスは1時間目は字の練習、2時間目は算数、3時間目は島の歴史、4時間目が魔法の勉強……昼食を挟んで5時間目が冒険についての勉強で、帰りの掃除をして再びホームルームを挟んで解散となる。
だいたい字の勉強や算数、島の歴史については商人や書類を扱うのでなければ2年生で、だいたい学び終わり、3年生と4年生になると冒険者になる勉強の割合が増えていく。
なので最低限の勉強を教わったら自主退学することもあるらしいが、よほど家族から反対されなければ4年間は授業を受けるようになる。
お昼ご飯は皆持ってきたお弁当を食べる。
島によっては給食と呼ばれる学校側が料理を提供してくれる場合もあるらしい。
今日も字の練習と算数、島の歴史を学んで4時間目の魔法の勉強の時間になる。
魔法の時間で最初に習うのは体内の魔力を感じることで、私はもう無意識にできるが、魔法についてこの時に始めて学ぶ子供も多いので、魔力を持つ生き物の体内に生成される魔石という物を使って魔力を感じることから勉強が始まる。
魔石はもちろん私達人間の体内にも存在し、心臓の反対側……右胸にその人の魔力総量によって大きさが変わってくるらしい。
魔力を多く蓄えた老人なんかは右胸が少し膨らんでいたりするらしい。
老人ではないけど一流冒険者で魔力総量の多い魔物を食べていたお父さんとお母さんの右胸もお風呂に入った時にほんのり膨らんでいた気がする。
まぁ人間はどんなに大きくても拳より大きくなることはなく、人間の魔石の質は悪いので燃料や肥料などに使われることは無く、亡くなった人の魔石は小さな箱に入れて火葬して残った骨と一緒にお墓に埋めたり、魔石だけは家で大切に祀ったりすることがある。
今回授業で使う魔石はゴブリンの魔石で、親指程度の大きさの物だ。
握って見るとほんのり温かさを感じる……これが魔力である。
魔力は目に見えないので感覚になってしまうが、温かさを感じたらその感覚を覚えているうちにランプの魔道具に魔力を流し込む。
魔力を掴めたらランプが光るのでそれで大抵は覚えることが出来る。
覚えられなければ居残りで、より大きな魔石を使ったり、先生と一緒に魔法の使い方を教わる。
それでもランプが光らなければ体内の魔力総量が足りてないか、魔法を体外に放出できない病気なのでその検査を受けることになる。
魔力総量がたりないだけなら先生から親に魔物の食事を増やすように指示され、病気ならば魔法が使えないので、魔法の授業は別のクラスで魔法が使えない子達と別の勉強になる。
まぁ魔法が放出できないだけで魔力は持っているので、肉体強化の魔法は放出がしない分、筋肉に魔力がよく馴染み、怪力に目覚めたりして冒険者として活躍している人もいっぱいいるらしいので悲しむ必要は無いと教わる。
「あ! 光った! アリス光ったよ」
「私も光った!」
メアリちゃんとアナちゃんも無事に光り、うちのクラスではこの時間にランプが光らなかった子は出てこなかったし、今年は学年の全員がランプを光らせることができたらしい。
毎年100人くらい居たら2人から3人出るらしいが、良い意味で偏ったっぽい。
私ももちろんランプを光らせ、今日の魔法の勉強の時間は終わった。
お昼ご飯はお弁当。
お母さんに作ってもらったお弁当を開く。
学校の近くにはお弁当屋さんがあり、お金があればお弁当を買うことができるので、お昼ご飯が無いという子供は殆ど居ない。
居たとしたら相当困窮した家の子供だけど、村八分されている家の子供や犯罪者の子供でもなければお昼ご飯は必ずある。
「アナちゃんのお弁当綺麗!」
「滅茶苦茶色とりどりじゃん」
一緒にお弁当を食べるメアリちゃんとアナちゃんだけど、アナちゃんのお弁当は実家が料理人だからか凄く綺麗なお弁当だった。
「昨日の残りを詰めただけだよ……このおかずは私が作ったんだ!」
「ええ! この卵の炒め物? アナが作ったの!?」
「凄い!」
私もお母さんに料理を教わることがあるけれど、アナちゃんは料理をご両親にしっかり教わっているらしい。
「「良いなぁ〜」」
「じゃあおかずの交換しよ!」
「え! アナちゃん良いの!?」
「うん!」
アナちゃんとおかず交換をしたり、今日の放課後どうするかと言った話しをしているとあっという間にご飯を食べ終わり、午後の冒険についての勉強になるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます