推しの子if

再々試

第1話 推しの子最終話if

ルビーはアクアの棺の前でただただ泣いた。


「せんせぇ、せんせぇ

やっと会えたと思ったのになんで、

なんでまたいなくなっちゃうの?

私がアイドルやってる姿、

ずっと見ていて欲しかったのに。」


その様子を見ていたかなが言う。


「そうよ!まだあんたの推しの子になってない。」


涙のせいで声はよく聞こえなかった。

その時だった。

あかねがこういった。


「これアクア君じゃない。」


ルビーはアクアの遺体を見た。

確かに少し髪がアクアより長い。


その時少女の声が聞こえた。


「誰のために泣いているの?」


気がつくと後ろに少女が立っていた。

真っ白な髪が目を引く。

ミヤコが言う。


「あなた、誰?

いつの間に。」


「別にいいでしょ、そんな事。

それよりルビーはどうして泣いてるの?」


ルビーは少し驚いた。


(何故目の前の女の子は私の名前を知ってるの?)


さらに女の子は言う?


「ねえ、誰のために泣いてるの?」


「お兄ちゃんが私の大切な人が死んだの。」


そうルビーが言うと少女はこういった。


「どうして生きてる者の死を嘆いているの?」


「えっ?」


そんな時だった。

葬儀場の扉が開き

アクアが現れたのは。


「お兄ちゃん、お兄ちゃん‼︎」


ルビーは駆け寄ってその体に抱きついた。


「悪かった。いらない心配をかけたな。」


「どうしてあんたがここに?」


かなが言う。


「アクア君。生きてたんだ。」


「その遺体は俺じゃない。」


「じゃあ誰?」


ルビーが疑問を投げる。


「カミキヒカル。

俺達の父親だ。

そしてアイを殺した張本人だ。」


「そう。あんたは生きてたのね。」


「ああ、ある奴が助けてくれた。」


「良かった。よかった。」


かなが泣き崩れる。


「まだ死ぬわけにはいかない。

お前の推しにはなってないからな。」


かなは目を見開いた。


「あかね。

色々ありがとな。

お前には色々と面倒かけた。」


「ううん。アクア君の役に立てて良かった。」


「アクア。」


ミヤコはそう言ってアクアを抱きしめた。


「良かった。

アクアが無事で。」


そしてアクアは言った。


「ごめん、母さん」



その日のうちに

全国のニュースはアクアの生存を告げた。


次の日には皆んなでアクアの為にパーティーを開いた。

皆んな泣きながらアクアの無事を祝った。


「ルビー、ちょっといいか。」


パーティー終わりアクアはルビーに声をかけた。


「どうしたの?」


皆んながいない場所に行くとアクアはこう切り出した。


「さりなちゃん。

僕は今から天宮ゴローとして話をするよ。」


「うん。」


「結論から言うと僕の復讐は終わった。

アイを殺した犯人はもう居なくなった。

僕は、僕達はもう自分の人生を歩んでもよくなった。

これからは僕は星野アクアマリンとして生きていく。

もう天宮ゴローの生まれ変わりじゃない。」


ルビーは頷く。


「それでね、さりなちゃん、君にもお願いがあるんだ。」


「なあに?せんせぃ」


「もう君の復讐も終わったんだ。

さりなちゃんも、さりなちゃんの人生を歩んでほしい。

もう君が復讐に囚われてアイドルをする姿は見たく無い。」


ルビーは言った。


「ごめん。

私はママみたいなアイドルにはなりたくないって言った。

なのに私は私は、

嘘ばっかついて、皆んなを傷つけて、

私の憧れていたアイドルじゃなくなった。」


「いいんだ。もういいんだ。

やってしまった事は取り戻せない。

だからって今から君は

星野ルビーとしての人生を歩んでくれ。

なりたい君になってくれ。

先生との最後の約束だ。」


「うん。

分かったよ先生、いやお兄ちゃん。」



ツクヨミはその時マンションの屋上にいて空を眺めていた。

そしてこう呟いた。


「幸せになって。

星の子達。」

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