第2話 憧れ

そんなことはないよね…?

そうだよ、私。落ち着いて。

私には、大好きな託真(彼氏の名前、たくま)がいるんだ。

隼瀬なんかは好きじゃない。

私は、私に言い聞かせた。

このドキドキが収まるのに、少し時間がかかった。


そんなある日。その日も部活で、帰りの電車は18時を過ぎていた。

(そういえば、今日は親が遅くなるって言ってたな…少し寒いけど、ベンチに座って待っていよ。)

私は駅下のベンチに腰を下ろした。


すると隼瀬が、

「ん?今日親来てないじゃん」

と言った。

「今日は親遅いんだ」

と私は言い返した。

「一人で待ってるの?」

「うん、そのつもり」

「じゃあ俺もいとこ」


…え?まじ?

なんで一緒に待っててくれるんだ…?

不思議に思いながらも、彼には20分以上雑談に付き合ってもらった。

親が来た時には、いつも通り、笑顔で「バイバイ」と言ってくれた。


優しいな。

託真は、鈍感というか、気遣いをあまり出来ないタイプだから、とても新鮮に感じた。

そこで私は、隼瀬のことを恋愛対象として見ているのではなく、ただ憧れというか、そういう目で見ていることに気がついた。

誰とも仲良くできて優しくできる隼瀬に、憧れ始めた。


そして私たちは高校に入学した______

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

遡及 うぉーたーめろん。 @water10melon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ