第1話 魔物の巣窟へようこそ
それからほどなくして島についた俺は、まずこれから暮らすこととなる寮に案内された。
「ここがあの篠崎学園、、、帰りたい。」
「卒業まではあきらめたほうがいいと思いますよ。」
船の中では会話すらしていなかったために、久しぶりの会話に泣きそうになった。
寮の中は授業中のためか人はおらず、静まり返っていた。案内された自分の部屋は思っていたよりはきれいだった。ここで運命の番に会う人も多いと聞くがあいにく俺はΩに変異したときに細胞のコピーミスで嗅覚が悪いため、αのフェロモンを感じることができないし、俺自身運命というものを信じていない、兄弟も運命には会ったことがない
「じゃあ、この後は部屋の中にある端末に送られてくるメールに従ってくれ」
「この学園で運命に合わない人はいるんですか」
「わからないな、俺もそこまで詳しいわけではないからな、これから先頑張れよ」
そう言ってここまで俺を案内してくれたお兄さんは帰って行ってしまった。その後姿を眺めた後、言われた通り部屋の中にあったスマホのような端末の説明書を読みながら電源をつけると、端末にはこう書かれていた、机の上に置かれているネックガードを首に着用し、パスワードを設定したのち、職員室に来ること。俺は書かれていた通り黒一色のネックガードを首につけた、その時俺はΩになってしまったんだと強く実感した。パスワードは自分のメアドにした、あんまり使うことがなく自分自身もよく覚えていないので、売りやり外されそうになっても解除する可能性が一番低いと思ったから。
設定が終わった俺はさっそく職員室に向かうことにした。だが地図を見ても自分がどこにいるのかさっぱりわからない。とりあえず部屋の鍵を閉め、廊下をまっすぐに進んでみることにしたのだ。
「マジでどこが職員室なんだよ、もっとわかりやすく書いてくれよ」
ひとしきり歩くと、学生らしき人を見かけた。
「すいません、職員室への行き方を教えてくれませんか」
話しかけた人は、俺より小柄で、艶やかで、ザ・Ωって感じだった、先天性か後天性かで随分と顔の造詣が変わるもんだと思った。
「君転入生?」
「はい、どこなのかわからなくて。」
「職員室は、そこの階段を下った一階の左側にあるよ。慣れないと思うけど頑張って」
説明を聞いた俺は、職員室へ向かい始めた。
作者より
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