【10】大事なお話

「?どうしたの?ウィリアムさま」


「……今行きます。」


ラズは今から何の話がされるかわからない状況で頭にはてなを浮かべていた。その一方でフロムはとうとうこの話が来たか…と顔が少し強張っている。


「ラズ、今から大事な話をするんだけど最後まで聞ける?」


「もちろん!お話はなーに?」


ラズはにこにこの笑顔で話を待っている。

ウィリアムは形のいい唇を開いた。


「ラズは魔法を使えるようになりたいかい?」


「うん!私素敵な魔女になりたいの!!」


ラズはウィリアムに向かってそう伝えたがウィリアムの顔は少し曇っていた。


「フロムはどう思う?」


「……ラズには悪いと思うけど俺は魔女になるのはそんなにいい気はしないです。」


「うん、そうだね。僕も同じ気持ちだ。だから、ラズ?」


そこでようやくラズは重大な話をしているのに気づいた。


「はい。」


「僕たちは君がやりたいことを応援する。だからまずは15歳の誕生日までに魔女になる前の見習いの魔法使いになるための試験を受けなさい。猶予は5年。今この世界では魔法は少し危険なものになりつつある。だから身を守るための術としてでもいいから試験を受けてほしい。」


ウィリアムはラズに目線を合わせてそう伝えた。


「15歳の誕生日…5年……。」


ラズはふっと笑った。


「そんなのもちろん試験を受けて一発で合格します。だからウィリアムさまもそんな悲しそうな顔をしないで?」


ウィリアムはラズに目線を合わせた時に無意識に悲しい顔になっていた。ウィリアム自身は気づかなかったがラズにそう言われてハッと気づき微笑んだ。


「ラズも立派なレディになったね。試験に合格するためにはまず特訓が必要だね。僕は見習いからの師匠になれる。だからまず見習いになるための先生が必要だ。」


フロムはウィリアムとラズが話している内容を聞き少し嫌な予感がした。大体フロムの嫌な予感は当たるのだ。


「フロム?君は勘がいい。今までの話を聞いて自分が何をしなければいけないか分かるかい?」


「俺がラズに魔法を教えるんすか!?!?俺そんなに教えるの上手くないけど!!?!?」


フロムは嫌な予感が当たったのと自分が先生をしなければいけないと言う事実に驚きウィリアムに対しての敬語が抜けていた。


「うん、君はこの数年間でたった1人で成長していった。だから君がラズの先生になるのも適任だと僕は判断した。お願いできるかい?」


ウィリアムはフロムに優しく言っていたが目はお前はこの頼みを断ることは許さないと語っていた。

フロムはその目に唾を飲み込んだ。


「分かりましたよ!!やります!」


フロムは先生を引き受け、ラブに目を合わせた。


「ラズ、俺が先生をやるからには鍛えまくる。家族家だからと容赦しない。ついてこられるか?」


「もちろん、"先生"にいつか勝ちます。」


ラズの目は真剣な目でフロムを見ていた。


「決まりだ。明日から始めるぞ!」

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