【11】お花畑
ラズがフロムに先生と言ってから少し緊張感が走っていた。フロムがラズの顔を見てクスッと笑ったと同時に緊張感が解け三人は笑った。
「ふははは!!はー!笑った!それじゃあ私遊びに行ってくる!」
「あぁ、行ってらっしゃい。気を付けるんだよ?」
「夕飯までには帰ってこいよー」
「うん!行ってきます!!」
ラズは二人にハグをし玄関の扉を開け飛び出した。
その背中はラズを家族にしてから大きくなっているのを見てフロムは鼻を啜すすった。
「フロム、ラズが立派になったのは分かるが泣くのは早いんじゃないのかな?」
「……ズビッ。泣いてないです…。」
「そうか……」
ウィリアムはフロムの返答に対し困り顔で笑いを堪えていた。だが、またウィリアムも少し泣きそうになっていたのは誰も知らない。
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その頃ラズはある花畑に来ていた。
「遊びにきたよー!」
ラズが花畑の真ん中あたりで誰かに向かって叫んでいた。
「はぁ〜い、来たわね小さいレディちゃん?」
ラズの問いかけに答えたのはフランという女だった。まるで妖精のように可憐で淡い色の羽がとても綺麗だ。ラズが初めてフランに会ったのは五歳のころ花畑で出会ったのだ。ラズが泣いているとこにフランが来て遊んでくれた時からラズはフランが大好きなのだ。
「フラン!えへへっ…私も立派なレディでしょ?」
「えぇ、そうね。ところで今日は何して遊ぶのかしら?鬼ごっこ?かくれんぼ?それともお花で冠でも作る?」
「ううん、今日はねフランにね教えてもらいたいことがあるの。」
「あら、私が?…何を教えられるかしらねぇ。」
フランは顎に手を当ててうーんうーんと唸っていた。ラズはそんなフランを見て笑った。
「私がねフラン教えてほしいのはお花を出す魔法を教えてほしいなって」
「………それは、どうしてかしら?」
フランは怪訝そうにラズに聞いた。今までラズに魔法を見せてきてはいたが教えようとは思わなかった。
フランもまたラズが好きで危険な目にあってほしくなかったからだ。
だがフランはそんな考えが吹っ飛んだ。
「大好きな人達にね、私の大切な場所を見てほしいから、かな?」
フランはそのことを聞き、ラズに抱きついた。
「んっま!!何で可愛い子なの!そんなこと言われたら私も頑張っちゃう!」
「本当!?ありがとう!えへへっ、嬉しい」
ラズは頬を染めて照れていた。
「だけど、今日中には難しいんじゃないかしら?ほら、あなた杖ないでしょう?」
「あ、わたし、杖持ってない……」
フランがあわあわと慌てだしラズにお花をたくさん見せていた。が、ラズが泣きそうになっていた時誰かが声をかけてきた。
「ラズはやっぱり、抜けてるなぁ。」
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