【04】ご馳走の前に大掃除

ウィリアムとフロムは箒に乗り家に帰っていた。


「はぁ〜、疲れたぁ」


フロムは呟いた。それもそのはずフロムはウィリアムの使いであの小さな村にいたからだ。まるで最初から居るように村に住んでいた。


フロムは何故自分があの村に使いに出されたか知らなかった。ただある日に行ってきてと言われただけである。


「ウィリアム様は俺を何故あの村に送ったんですか??」


フロムは思い切ってウィリアムに聞いてみた。


「君にはまだ早いかな」


フロムは勘がよかった。

 

(あぁ、またか。俺は踏み込んではいけない領域だ。


フロムが落ち込んで下を向いたその時。


「なに、まだ話すべきじゃないと僕は判断しただけだよ。時期が来れば君にも話すさ。」


ウィリアムは笑っていた。


(そんなもんか、本当に教えてくれるのだろうか。

いや、きっとウィリアム様は教えてくれるだろう。

それまで気長に待つか!)


フロムはウィリアムが嘘をつかないことは一番知っている。それほど信頼があるのだろう。


ウィリアムが今までに話していた声より何トーンかあがって話し始めた。


「フロムがあの村に行っている間美味しいご飯を食べれなかった…。久しぶりにフロムのご馳走を食べたいな?」


フロムはウィリアムの顔を見るために目線を下からウィリアムに向けた。ウィリアムの顔はニンマリとしていた。


(あぁ、してやられた……)


フロムはウィリアムにいつも丸め込められている。今回もウィリアムに全て丸め込まれた。


「そうですね!!俺がいない間ウィリアム様は美味しいご飯を食べれなかったですもんね!!作りますよ!!ラズのミルクと一緒に!!」


フロムは叫んだ。結局丸め込められてもウィリアムが好きだからだ。


「ふふっ。ありがとう。美味しいご飯楽しみにしてるね。後はそうだな。フロムに言いたいことがあるんだ」


空中での移動も終わり箒を降りて家に入ろうとしていた時だった。家の扉の前でウィリアムは言った。フロムに言いたいことがあると。フロムは嫌な予感がした。


「なんでしょうか……。」


「フロム、ごめんね。」


フロムはこの一言を聞いて急いで扉を開けた。

そこに広がっていたのは出かける前に綺麗にした部屋ではなく、洗濯が散らばっていて、ゴミはその辺に転がっていて食器は洗われていない。どこからどう見ても神様が住む家ではなかった。


(あんなにも綺麗にしたのに。出かける前にしっかりとメモも残したのに。)


フロムはわなわなと震えたいた。


「ごらぁぁぁぁ!!!!!こんのゴミ神ぃぃぃぃ!!!」


フロムはウィリアムに掃除をさせようと振り返った。


そこにはウィリアムもラズもいなかった。

フロムはまたウィリアムにしてやられたのだ。

フロムは家に入りエプロンをつけ三角巾をマスクをした。物置き場やから箒や塵取りバケツ雑巾など掃除用具を準備した。


「はぁ…。ご馳走作る前にこの部屋を綺麗にしなきゃいけないのかぁ。帰ってきたら尻に一発叩き込んでやる。」


フロムはそう言い掃除を始めた。ご馳走は何を作ろうかと考えながら。

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