二釈タカシ (生徒紹介#3)
出席番号20番
二釈タカシ
好きな食べ物 キムチ鍋
クラスで一番の身長を持ち、ボワッとした髪に隠れたよく垂れた目は、全てをみられているかのような気がする。
基本的に声が小さいので言葉の最後に「......」がつくが、長くしゃべるので聞き手の技量が試される時がある。
中学生活はその大きな身体と声の小ささがいじめられる原因となり、度々休む生活を送ることに。
高校生活は穏やかに過ごせることを第一に、地元から少し遠くに位置するこの高校を選んだ。
基本的には目立ちたくないタイプなので、部活や委員会などには入らないが、気分で文化祭実行委員のような類いのの仕事に参加したりもする。
クラス長と仲田の二人と仲良く生活しているが、別の人とも会話をしてみれば全然誰とでも打ち解けられる素質はあるため、別にコミュ力が低いわけではない。
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六限目終わり、クラス長が担任を呼びに行き教室で戻ってくるのを待っている間。
「眠いわ......」
「五限目化学、六限目現代文は無理だよな。」
二釈は大きなあくびをしながらとあることを思いだしてハッとすると、急いでスマホを開きゲームを開く。
「やべ、ログボの時間だ......。」
「え?今三時半だぞ?」
「ああ、エジンバラに合わせてるから......。」
「エジンバラ!?どこだよそれ!」
スコットランドの首都、エジンバラにログイン時刻を合わせているその謎のゲームには、別に全くスコットランド要素があるわけでもなく、リリース元は埼玉らしい。
「てか別にロンドンとかでいいじゃん。」
「エジンバラにするのがいいんだろ.....?」
二釈はやれやれという表情で深い鼻息を吐くと、ログインボーナスで手に入れたアイテムで。
「お、フォルテ貯まった......。」
「フォルテって?」
「ああ、ガチャ石みたいなもんだよ......。」
強くという意味を持つ音楽記号、フォルテがこのゲームのガチャを引くのに大事なアイテムらしく、どうやら強いキャラが手に入るという意味を込めてとのことらしい。
「なんか設定ゴチャゴチャしてんな。」
「まあ、十一個貯まったし引くわ......。」
「十一個ってなんだよ、五個とかだろ。」
二釈はなにかおまじないらしい動きをしたあと、すごい勢いでガチャを引く。
「うわ、めっちゃ強そうじゃん!」
真っ白の瞳に凛々しい角、筋肉隆々の胴体には大きくて長い尻尾が下に垂れて地を張っている。
「いやこれはちょっと弱いな......。」
「え、そうなの?」
「まあ、評価的にはメッゾピアノかなぁ......。」
「あ、そんな使われ方もするんだ。」
二釈は渋い結果に首をかしげながらアプリを閉じると、画面いっぱいに広がるアプリの中から似たようなゲームを始める。
「あーこれはブダペストに合わせてるからログボまだだった......。」
「もういいわ!」
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