「短歌の秋」投稿作品

kie♪

寒い夜 机の上の マグカップ 一期一会の ミルクティー

 立冬を過ぎて暦の上では冬になった今日この頃。日中はそうでもないが、朝夕は少し肌寒く感じることが多くなってきた。特に今年の冬は寒くなるようだ。それでも各地で紅葉が見頃になっていたり秋の味覚がスーパーに並んでいたりとまだまだ秋の気配も残っている。


 私は大の紅茶好きだが、特にこんなときには温かいミルクティーが無性に飲みたくなる。この歌ではそんな状況を詠んでみた。湯気が立ち昇るミルクティーはほんのりと身体を温めてくれる。しかしながら私は猫舌なので一遍に飲めない。それでも大きめのマグカップにたっぷりとミルクティーを淹れて時々机の上に置きながら飲むのがステータスになっている。そんなミルクティーだが、毎回同じように淹れているはずなのに不思議と味が変わる。あるときは牛乳の甘さを感じたり、また別の日には紅茶特有のキレのある渋みを意識させられるときもある。淹れるたびに濃さが変わるのを楽しむのもまた一興だ。まさに一期一会と言っても良いだろう。


 因みにこの“一期一会”とはかの有名な茶人である千利休が広めた茶道の心得を表している言葉だと言われている。広い意味では紅茶も立派なお茶なのだから一期一会があっても別におかしくない。寧ろその美味しい出逢いを待ちわびているときすらある。今回の短歌のお題は“濃さ”だったが、意図して書いた紅茶の濃さだけでなくその紅茶を味わう時間という濃さも短歌の中に描くことが出来たような気がする。さあ、今年の秋も一期一会のミルクティーとの温かい出逢いを楽しもうと思う。


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