第46話
カズアキが復帰した日。
ユメの予想通り女子生徒が朝から大騒ぎだったが、放課後になると校内も落ち着きを取り戻す。
友達部は、カズアキとミラがいない間もダラダラと毎日過ごすだけであったが、タマミの一件からか周りの反応は少しずつ変わりつつあった――。
「雨宮先生!」
職員室で教頭先生の低い声が響いた。ミーヤは、また何か注意されるのかと、覚悟しながら教頭の前に立つ。
「はい、なんでしょうか。教頭先生」
「友達部のことなんですがね……」
「はい……」
「他の先生からいろいろ話が出ていましてね」
「……何かクレームでしょうか」
「いやいや、違いますよ。その逆です」
「え?」
「この前、サッカー部の生徒を助けたそうですね。友達部の生徒達が」
「はい」
「それを聞いた他の先生方から、自分達のクラスの生徒もお願いしていいのかと聞かれてましてね」
「それってどういうことでしょうか……」
「そのサッカー部の生徒と同じように、助けて欲しいということです。教師としては当然、自分の力で何とか生徒を助けたいものです。しかし、どうしても教師だけでは対応できないケースもある。その場合、今回雨宮先生がされたように、教師と生徒達が協力して対応するというのも、新しいやり方なんじゃないかと……。教師のプライドや意地を優先することより、生徒にとって一番いいことをやっていこうじゃないかと、そういうことです」
「私もそのご意見に賛成です」
「それで……友達部は現在、あまり具体的な活動はしておりませんね」
「はい。すいません……」
「そこで相談です。彼らの活動の一つとして、このような教師からの依頼に対応していくというのはいかがですかな? 友達がうまくできない生徒やいじめられている生徒の中で、教師だけではうまく助けられない生徒を、彼らに手助けしてもらうんです。当然、対象となる生徒には、教師からの依頼であることは言えません。自分は教師に見放されたと思われるかもしれませんからね。ですから、この依頼には内密に活動してもらうこととなりますが……」
「特殊部隊みたい……あ、すいません」
「ふふふ。そうですね。天河高校の特殊任務です。どうですかな?」
「ぜひ、やらせてください!」
ミーヤは教頭に向かって、思わず敬礼のポーズをとってしまう。
「ここは自衛隊ではありませんよ」
「す、すいません!」
「友達部には期待しています」
「ありがとうございます!」
「それでは早速、始めましょうか」
教頭は他の教師を集め、友達部の活動について説明を始めた――。
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