第40話

「それじゃあ、友達部のルールはだいたいわかったかしら?」

「はい、部長」

「あ、部長は禁止よ。ニックネームで呼ぶこと。私は『ユメ』でいいから」

「はい、ユメ先輩」

「う~ん、素直で可愛いわねぇ。頭なでなでしていいかしら」

「それはお断りします」

 タマミは顔の前で大きくバツをする。

「私はサヤカです」

「私はミラ」

「俺はタカだ」

「タカノリでしょ」

 なぜか『タカ』と呼ばせることをミラにブロックされる。

「それで、僕はカズアキ。みんなは『カズ』って呼んでくれてる」

「はい、カズ先輩……」

 名前を呼んで顔を赤くするタマミ。それを見たユメが呆れている。

「なに、これ。BL?」

「ちょっと、そういうこと言うの辞めてくれよ!」

「はいはい。それで綾瀬くんのことは……やっぱり『タマちゃん』かな」

「タマちゃん、だな」

「タマちゃんしかないわ」

「えぇぇ! ちょっと待ってください。なんか女の子みたいで嫌です」

「その顔が言うかぁぁ!」

 ユメがタマミの顔を両手で挟んで抑えつけた。

「でもさぁ。もともと『タマミ』が女の子っぽい名前なんだから、タマでもタマミでも一緒じゃないか? 俺のこと誰もタカって言ってくれなし、なんかうらやましいぜ」

「そ、そうですか……わかりました。では『タマ』でよろしくお願いします」

「それじゃ、タマちゃんも晴れて友達部の部員となりました~」

 みんなパチパチと拍手し、タマミはペコリとお辞儀をした。


「それでユメ先輩。友達部って具体的に何するんですか?」

「そうねぇ……。毎日、昼休みか放課後にここに来てぐだぐだと話しているだけよ」

「え? それだけですか?」

「そうよ。だって友達部の試合とかコンクールとかないでしょう。あってもキモイし! 友達に点数とかつけられたりして。あははは」


 タマミはユメの話を聞いて、本当にこの部に入ってよかったんだろうかと少し不安になった……。

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