第32話

 体育館裏では、四人がユメを囲んでいる。

「あははは……。いろいろごめんね~」

 ユメは両手を合わせて謝っている。

すると、ミラがユメの肩をポンッと叩いた。

「何も謝ることないわ。すばらしい発表だったわ」

 サヤカも腕を組み、頷いて納得している。

「そうですわ。少し驚いたところもありましたけど、よかったのではないですか」

 タカノリもそれに同意していた。

「そうだな。俺はチャラいことが原因で友達がいないわけではないんだが……、まあ、それは置いといて、お疲れさん!」

「そう……。みんなありがとね。でも、良かったのかな。新入生にすぐは入れないとか言っちゃって」

「いいんじゃね? しばらくは五人で楽しくやろうぜ! しかしだな……資料つくるのに時間かかったんじゃなかったのか? 使ったの『友達部』の一枚だけだったよな」

「ああ、あれね。前に立ったら、なんか全部飛んじゃって、思いつくまま話したわ」

「ええ? 全部アドリブだったのか? 恐ろしい奴……」

 タカノリがそう言った後、教室に戻りだす五人。すると、ユメはカズアキを引き留めて何か言いたげにしている。

「あれ? どうしたの?」

「えっとぉ……カズアキはどうだった?」

「発表のこと? とっても良かったと思うよ! 素晴らしかったし、ユメを部長にして正解だったとも思ったよ」

「そう……」

 ユメはうつむいて、うれしそうに微笑んでいる。

「でも、一つ違った点があったかな」

「え? どこ……かな?」

 ユメは不安そうな顔で、恐る恐る聞いた。

「カオルがユメのことを嫌っていたというところさ」

「そんなのわからないじゃない……」

「わかるよ。カオルと何度も話したけど、ユメの悪口は一度も聞いたことがないよ。それよりもいつも自分のことを心配してくれて注意してくれて感謝してたんだ」

「そんなことをカオルが……」

「でもユメが言うように、自分を変えることができないから、そんな自分にイライラしてたかな。でも、本当はサヤカやミラと同じように、もっといろいろ話したかったみたいだよ。だからさぁ。ユメはこれ以上、自分を責める必要は――」

 するとユメは突然――カズアキに抱きついて泣きだした。

「ちょ、ちょっとユメさん?!」

「ありがとう。教えてくれて……。カズアキには本当に感謝してる。あなたに会わなかったら私どうなってたか……。本当にありがとう……」

「感謝するのは僕も同じだよ。ありがとう」

 カズアキは、泣いているユメの頭にそっと手を置いた――。

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