第42話 五日目 七月二五日 一八時一七分(05:17:43)

虐殺蜂ぎゃくさつばちの拠点クリスタルの破壊を確認。これで人間と虐殺蜂の拠点数は八対七になります』


 流岩ショッピングタウンの近隣にある虐殺蜂の拠点を強襲し、破壊に成功した。


 これに要した時間は約四時間。放水のための消火栓などの確認と人の配置、移動で三時間。実際の戦闘はたったの一時間で終結した。


 これも虐殺蜂が流岩ショッピングタウンの襲撃に失敗したせいで、守るべき巣に戦闘可能な個体が三〇〇体もいなかったお陰だ。


 虐殺蜂の討伐で得られるポイントがショボかったのは残念だったが、敵側の拠点を攻略したことで、とうとうこちらの拠点数が相手を上回った。これを維持できれば、第二次試験の勝者はオレたち人間側となる。


 虐殺蜂の巣はマンションのように巨大だったが、ショッピングタウンには電動ドリルや油圧カッターも売られており、外壁に穴を開ける労力は少なくて済んだ。


 内部に閉じ込められていた被害者を救出すると、いずれも注入された麻痺毒まひどくのせいで意識が無かった。卵を産み付けられた者はどうしようもなかったが、まだの者は解毒作用のあるゼノゾンのキュア・ポーションで治療ができた。


 日が完全に落ちる前に救出を中断し、また後日に再開することになった。


 今日は朝から晩まで戦い通しだったが、参加した誰もが晴れ晴れとした顔をしていた。この『試験』が始まってからずっと劣勢に立たされていたのを、やっとのことで覆したのだ。リードしている状況は大きな安心感を与えてくれた。


 オレたちは七月二五日を勝利で終われた。

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