第41話 五日目 七月二五日 一四時〇二分(05:21:58)
威勢の良いことを言ったものの、オレはすぐにビアンカの【スキル・ブースト】が切れて役立たずになった。
【スキル・ブースト】はスキル効果を二倍にするが、使用後は全身の筋肉痛と
ポーションを服用すればそのダメージを軽減できるものの、連続使用し過ぎると薬効が薄れるらしく、ポーションを摂取しすぎたオレは充分に回復しなかった。なので戦闘の継続を断念し、車の後部座席で寝ている間に、
「ありがとう、ありがとう、ありがとうっ!」
流岩ショッピングタウン内の広場で、
「いえ、自衛隊が国民の命を守るのは当然の、」
「何人連れ去られた?」
このような状況でも綺麗事を口にしようとする忠伸をオレは遮る。
「何十人も虐殺蜂に連れ去られていたが、正確な人数はどのくらいだ?」
広場には怪我人がひしめき、まるで野戦病院のような有様だ。火災も起きており、動ける者は消火活動と救護、虐殺蜂の開けた侵入口の封鎖などにてんてこ舞いになっている。だがそれでも虐殺蜂に攫われなかったなら幸運と言えた。
「な、何だこのガキは。何でお前のような子供に、」
「いえ、彼の言う通り誘拐された人数は知りたいです。大まかでいいですから分かりませんか?」
忠伸に言われ、太一はワタワタする。
「お、おい、すぐに調べてこい!」
太一が隣にいた男に命じるが、男は不快そうな顔をする。
「どうやって調べるんすか? 大体、最初から何人いたかも分かんねーっすよ」
「お、お前、何だその口の聞き方はッ!」
太一は周りにいた男達と揉め始める。互いに責任をなすりつけ合い、醜いことこの上ない。
「あーあっ! 初めから自衛隊に協力してれば、こんなことにならなかったのになーっ!」
オレが大声で言うと、周りの者が手を止め、太一を非難めいた視線で睨む。太一を擁護する声は上がらず、はっきりと孤立したことが伺えた。
オレからすれば、太一に賛同して協力しなかった時点で全員同罪なのだが、また反抗されると厄介なので信頼関係にヒビを入れておくことにする。
「性格悪いなぁ」
綾の苦笑いに、オレは肩を
「
「お、来たな。どうだった?」
「高校生……また何かを企んでいるのか?」
忠伸が、情報をやり取りするオレたちを咎めるように言う。
「企むとは人聞きが悪い。お前も知っているはずだが?」
訝しむ忠伸にニヤリと笑いかける。
「逆襲だ」
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