第10話 一日目 七月一七日 一六時〇四分(02:19:56)
【
「あと一人なのにっ」
悔しがる
ゼノゾンで三本のポーションを購入し、重傷の三人に使用した。三人は死の危機を脱することができた。
残りの一人は
ポーション三本を購入した差額は二万。ポーションをもう一本買うには八万足りない。虐殺蜂を三体倒す必要があった。
「で、どうやって倒す?」
オレの発言に、綾が意外そうな顔をする。
「どうしたの? 積極的だね?」
「まあ、本音を言えばやりたくないんだが、ああやって苦しんでいるところを見るとな……」
女生徒の顔色は悪く、マットの上で友人たちに看病されていた。
「ふぅーん? へえええ〜」
綾がなぜだか、嬉しそうに小突いてくる。
「何だ?」
「別に!」
綾が白い歯を見せ笑う。
口にしなかったが後ろめたかった。車で虐殺蜂を轢いたとき、オレが車内で綾の尻に鼻の下を伸ばしてなければ、死骸の三、四体は撮影できていたはずだ。そう考えると苦しんでいる女生徒に対し、あるかないかの良心が傷まないでもなかった。
「でも、この時間から行動するのは厳しいわね。やるにしても明日よ」
理乃が難色を示す。時刻は午後四時を過ぎていた。外はまだ明るいが、二時間もしないうちに日が落ちるだろう。真っ暗闇で虐殺蜂とやり合いたくはなかった。
とりあえず、今は食って寝ることにする。
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