3話:悪役令嬢:攻略キャラクター情報
心地よい眠りから徐々に目を覚ます。目を開けると、朝日がカーテンごしに柔らかな光で包み込んでいた。
顔を動かすと、リエルがまだ夢の中にいる姿が目に入った。
リエルの寝顔が可愛らしくて、指をそっと伸ばして頬をプニプニとつついてみる。
「んー……」
反応に思わずクスリとする。
入学式まで時間はある。リエルを起こさないように気を付けてベッドから離れる。
テーブルについて、これからのことを思案する。
主人公のリエルと結ばれる攻略キャラクターは四人存在する。
攻略キャラクターの一人目は、アレン・ハーメット。
少し長めの金髪と青目が特徴。
第一王子で次期国王。
適性属性は雷。
花が好きな王妃の影響で同じく花の鑑賞を好む。
理想のタイプは、花が咲くように笑う人。
専用イベントは、城下町デートや花畑でピクニックなどオーソドックスなものが多い。
クライマックスイベントでは、王妃との思い出の花畑でアレンがプロポーズをする。
次期国王であるアレンは秘匿部隊『影身』を好きに動かせる権限を持つ。影身は調査、諜報、戦闘のいずれも優れた少人数のエリート部隊。原作のアレンルートで私はこの影身に始末された。
原作では王妃は亡くなっており攻略中に過去の話を聞くはずだが、前に参加した社交界で王妃は健康そうにしていた。私が本編開始前にエリクサーをこの世界にもたらした影響と思われる。
最初は学園に所属していない。時系列としては入学式からちょうど一ヶ月後に途中入学する。その際にリエルが声をかけられて校内を案内する。
リエルと出逢うオープニングイベントのフラグは折ったので面識は無い状態だが、案内イベントは起こるかもしれない。
アレンのルートでは出番がないが案内役を押し付けれて、かつ、アレンの好みに合致しそうな人物が他ルートに存在していた。その娘と交流しておいて身代わりにする予定だ。
攻略キャラクターの二人目は、ヴェイン・ハーメット。
赤色の目と逆立った髪型が特徴。
第二王子。王と側室の子供。
適性属性は火。
身体を動かすことが好き。
理想のタイプは、自分と一緒に旅をしてくれる人。
原作では好きなタイミングで接触できる。主人公から関わらなくても運動力を上げる行動後に話しかけてくるパターンもある。
専用イベントは魔物がいる森に行ったり、幽霊屋敷を探検したりとアクティブなものが多い。
クライマックスイベントでは、言い伝えにあった幸福の指輪を山まで二人で探しに行く。洞窟を見つけた二人は協力して謎や仕掛けを解いて進み続けて指輪を発見する。その後にヴェインから幸福の指輪を渡されてプロポーズされる。
原作のヴェインルートで私はリエルを襲う強硬手段に及びヴェインの手で殺された。
対策としてリエルとヴェインは近づけないようにする。もし、向こうからリエルに関わってきた場合は切り札の一つを使う。
攻略キャラクターの三人目は、マキウス・アルビリア。
水色の目と長髪とメガネが特徴。
王族の分家で長男。
適性属性は水。
生徒会長であり唯一の年上キャラ。
理想のタイプは、仕事ができる人。
原作では生徒会に入るのがルートの最低条件。
専用イベントは生徒会の活動がメイン。生徒会メンバーや学園関係者が出てくるので一番ネームドキャラが多いルート。
クライマックスイベントでは、古い倉庫を二人で整理中に「魔の遺物」の一つである闇属性の腕輪を見つける。
魔の遺物は、古代文明時代に魔人や悪魔によって作られたとされている闇属性のアイテム。
対策もせずに直接さわった人間は心のバランスが崩れて、悪意や欲望や願望が強くなる。
装備をした場合は人間を超えた力を使えるようになるが、すぐに暴走して使用者の命が削れてしまう。崩れた心と合わせて周囲と使用者に死をもたらすので各国で使用も売買も禁止されており、発見された場合は王城の宝物庫に封印される危険物だ。
無記名の箱に入っていた腕輪が魔の遺物だと気づかずに触れてしまったマキウスは慟哭し、腕輪の力で増幅された魔法で暴れる。リエルは水流で何度も壁に叩きつけられても決して諦めず、必死にマキウスに近づいて抱きしめて、光の力で魔の遺物を浄化して助ける。マキウスは正気に戻った後でリエルにプロポーズをする。
原作のマキウスルートで私はマキウスの策略で国外追放となった。
対策としてリエルが生徒会に入らないようにする。
生徒会の加入イベントは二つある。知力ステータスが高い状態で起きる生徒会勧誘イベントの任意選択で入る。または各ステータスが低いと、落第を免除する代わりに生徒会の手伝いを学園から指示されるイベントが発生して強制加入する。
リエルには生徒会に入らないように言っておき、落第しないように私が勉強の面倒をみる。
最後の攻略キャラクターである四人目は、ターマイン・ハーメット。
碧色の目とウェーブがかかった髪が特徴。
第三王子。王とヴェイン母とは別の側室の子供。
特殊なキャラクターで共通イベントが存在せず、他の攻略キャラクターのルートに入ると姿すら出てこない。
各ルートのエピローグでテキストに名前だけが出てくる。
アレンのエピローグでは、古代の花が咲く花畑の場所をターマインが発見して教えてくれる。リエルとアレンの二人で花畑に向かうシーンで終わる。
ヴェインのエピローグでは、黄金が眠る島の場所をターマインが発見して教えてくれた上に船まで用意してくれる。リエルとヴェインが船に乗り込み、出港して潮風を全身に受けるシーンで終わる。
マキウスのエピローグでは、生徒会の仕事で疲れたリエルとマキウスのためにターマインが隣国の大劇場のチケットを用意してくれる。馬車で隣国への道を進むシーンで終わる。
ターマインのルートは、他の攻略キャラクターのルートに突入せずにゲームを進行することで入れる。
学園にターマインがやってきて、そのまま主人公にプロポーズする。
恋愛ゲームで誰とも恋人にならないノーマルエンドやバッドエンドに該当するルートなのでイベントもなくエンディングになる。
イベントがまともに無いせいで、適性属性や理想のタイプや好きなものが不明。
ターマインのルートでは私が生存しており破滅もしていないことがテキスト上で言及されていた。だから、このルートにリエルを誘導するために他の攻略キャラクターとのイベントフラグを折っている。
あくまでもイベントを潰すだけで、私が攻略キャラクターと恋人になったりしたいという気持ちは一切ない。原作の乙女ゲームをプレイしていた時も攻略キャラクターたちにときめいたりしていない。
私が原作を遊んだ理由はゲームのビジュアル担当が好きな絵師さんだったからだ。これは思い出せた前世の記憶の一つ。
前世の私は芸術大学の学生で、絵に関係する仕事に興味があった。
そして絵師の宣伝でゲームを知ってプレイをした。全ての一枚絵を見るためにイベントコンプリートするまでやり込んだから各種ルートはよく覚えている。
他にも思い出せたことはいくつかあるが、顔や名前とかは今でも分からない。知りたいと考えてもないから思い出さないままでいい。
コンコンとノック音が耳に届く。
考えている内に朝食の時間になっていた。
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