第4話  素直になれなくて

恒章が「あぁー、疲れた」と背伸びをし、欠伸をして校門を出た。

琴葉が「あんたね?授業中に寝て居たでしょう?あんなにいびきを掻いていたのに先生に見つからないのが不思議だわ」と恒章に話し掛けた。

恒章が「だって、俺は授業が退屈で仕方が無いんだよ」と琴葉に返事を返していた。

そんな楽しそうに帰る中、龍彦が「今日一緒に帰らないか?」と花蓮に話し掛けた。

花蓮は「ごめん。私は今日1人で帰るわ」と教室でカバンに教科書やノートを閉まった。

龍彦が「そっか。残念だな。良く食べに行ってたスパゲッティ屋さんを見つけたから、一緒に行こうと思ったんだけど」と花蓮を見て寂しそうな顔をした。

龍彦が「じゃ、気をつけて帰れよ」と花蓮に声を掛けて教室を出た。

花蓮は静かに何も話さないまま手を振っていた。

花蓮は教室を出て行く時に、あの女の子が、下駄箱の前で立っていた。

女の子が花蓮を見て「お姉ちゃん。私ね?」と笑顔で声を掛けた。

花蓮が「お姉ちゃんっていつ私があなたのお姉ちゃんになったの?」と美華にブスっとした顔をした。

美華は「だって私はお姉ちゃんの味方で居たかったの?私はいつも1人で居るお姉ちゃんが心配で仕方が無かったから、お姉ちゃんと友達になりたかっただけなのに」と涙を流して泣いていた。

美華の母親が来て「誰が美華を泣かしたの?あなた?」と花蓮を睨んで居た。

花蓮が「だったら、何ですか?」と美華の母親に刃向かった。

美華の母親が「このぉー」と手を挙げようとして居た時、その花蓮の前に立って頬を叩かれたのは龍彦だった。

美華の母親が「美華?もう帰るわよ。こんな所に来ちゃ駄目」と美華に注意を払って帰って行った。

花蓮が「何で?何でこんな所に居たの?」と龍彦に疑問を投げ掛けた。

龍彦が「だってさ?僕が居なきゃ花蓮は何も出来ないだろう?小さい頃から変わらない花蓮だから心配で僕は此処に居たよ」と花蓮に向かって素直な気持ちを伝えた。

花蓮が「うふふぅ。私は、凄く寂しかった。親からも冷たくされてこの世の中に生まれてこなければ良かったと何度思った事か」と涙が出て来た。

龍彦が「そんな事、もう考えなくて良い。僕がこれからは花蓮の事を大切にしていくから」と花蓮を抱き締めていた。

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