第3話 その中身は
龍彦が「あ、おはよう」と花蓮に挨拶をした。
花蓮が「あ、おはよう」と龍彦に挨拶を返した。
龍彦が「あれから聞いたよ?花蓮の家の親、お金も出して来れないんだって?食事もろくに出来ないとか聞いたけど」と花蓮を心配して居た。
花蓮が「何処でそんな話を聞いたの?」と龍彦に声を掛けると、龍彦が「あぁ、最近、家の周りでその話を聞いて心配になったんだ」と花蓮に返事を返した。
花蓮が「私の話は周りの人には筒抜けね?」と苦笑いを浮かべた。
龍彦が「え?それ、どう言う事?」と花蓮に話をすると、花蓮が「私の話だけは不幸話だから、皆からは楽しくて面白おかしく話すだろうけど、私にとっては悲しい事なのに誰も私の気持ちを分かって居ないよね?」と涙を浮かべて居た。
花蓮は、袖で涙を拭いて「もう、話し掛けないで」と龍彦の側を離れた。
龍彦はギクシャクしながら「そんな気持ちで花蓮は居たのか?」と下駄箱から、上履きを出した。
その日のお昼は、花蓮が教師の奥さんに作って貰ったお弁当を片手に、校庭で1人お昼を食べて居た。
むしゃむしゃと1人で食べて居る花蓮は、何処か虚しそうに見えた。
そこへ1人の女の子が「ねぇ?お姉ちゃん、1人で食べて居て寂しく無いの?」と花蓮を見てそう答えた。
花蓮は「良いんだよ。いつも、お姉ちゃんは1人なんだから」と女の子に返事を返した。
女の子が「私だったら、皆と食べた方が1人で食べるよりも何倍も美味しいと思うよ」と花蓮に向かって笑顔を見せた。
母親らしき人が来て、「美華?こんな所に居た。知らない所に行ったら駄目でしょう?早く帰りましょう」と美華に声を掛けて手を繋いで歩いて行った。
美華が「バイバイ。お姉ちゃん」と花蓮に嬉しそうに手を振って帰って行く姿を見て居た。
花蓮が「そろそろ授業に戻らなきゃ」とお弁当を風呂敷に包み教室に戻って行った。
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