崩壊世界の封印狼

柏兎 レイ

第1話 413年の眠りから

 ——ッキパッキパッキ


 暗く広い部屋に置かれた結晶からヒビ割れていく音が聞こえてくる。やはり音の通り結晶はヒビ割れていた。結晶の中を見ると一体の狼が入っていた。青年らしい体格にモフモフできそうな尻尾と耳がついていた。服装は、薄く汚れた布一枚を上に着ていてズボンも似たような感じであった。


———ピッシ……バキバキバキ


 遂に全体にヒビが回った。そして、その瞬間は直ぐであった。


 バッキという音と何かが崩れる音がした時。結晶は全て割れていた。そして、中にいた獣人は地面に倒れるのであった。数分後に彼は起き上がるのであった。そして、静かに話し始める。


「何年封印されてたんだか」

 

そう言い彼は立ち上がる。しかし、上手く力が入らないようでフラフラしていた。そして、机の上に置いてあった時計を覗くのであった。


「魔力時計か……計測されてるな」


「魔力時計」。それは、魔力で動く機械の一種であり、空気中の魔力を中の魔石と呼ばれる魔力を固めて出来る結晶が吸収し、それを動力として使用する。機械(歯車等)が壊れなければ文字通り永久に使える。そして、そこに置かれていたのは、魔力時計でも地球で言うストップウォッチのような役割をしていた。そこの表示を見て話し始めるのであった。


「413年と53日か」


 そう静かに言うのであったがリアクションは薄かった。400年も寝てたのにそのリアクションはおかしい。しかし、彼はまたその年代を見て見て驚くのであった。


「よっよっよ……よぉんひゃくねぇん!? 」


 その年数はやはり彼を驚かせた。さすがに四百年寝ていた彼だから出せる表情もしていた。しかし、何故彼は封印されていたのか。それは、413年54日前へ戻れば良い。


——413年54日前。とある王国にて。


 「リアス・ゼロナクよ。魔王を倒したことを感謝する」


 良い椅子に座った国王がリアスと呼ばれたものに対して言う。それを言われた彼はその日から413年54日後に封印を解いた彼であった。しかし、服は綺麗で洒落ていた。国王からの言葉に対しリアスは感謝をしてそのまま時間が過ぎていった。彼は魔法使いで様々な魔物を狩り。魔王までその獲物に入っていた。しかし、異次元過ぎる強さにゆえ彼は今話していた国王の手下に拘束されて、そのまま先程の結晶に入れられるのであった。そして、時間は過ぎていき。今彼は封印から目覚めるのであった。


「封印の経年劣化か。まぁ、助かったから良き」


そう言い部屋の扉を見つけて外に出るために階段を上るのであった。

 そして、外に出た瞬間。彼はその景色を見て驚くのであった。


「なんだ……これ……?」


かつて王国があった地上は、薄暗い荒れ地に変貌していた。

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