Episode 20 vs. 死神③
俺と死神の戦いは次の局面に移動した。
俺は剣をひたすらに振るい、攻撃が通るまで攻撃をし続けるのみ。
死神は非実体化を維持しつつ、大鎌を使い俺を攻撃する。
それが互いのすること。
決着は、死神の非実体化が解けるのが先か、
俺の体力が尽きるか、死神の攻撃が俺を捉えるか。
終わり方は3つ。どうなるかは分からない。
だがなぜか俺には確信があった。
ーーこの勝負は俺が勝つと。
「はぁっ!」
俺は開口と同時に、剣を死神に対して振るう。
効かないことは分かっている。2度目だ。
だからもう体勢が崩れることはない。
一撃を放って次の瞬間にはまた次の一撃。
死神には鎌を振るう時間すら与えない。
最強の攻撃は、最高の防御になりうる。
高速で振り回された俺の剣は、残像を八の字状に残している。
鎌を俺に向けようとしても、攻撃のために振るった俺の剣が自然に弾く。俺はそれによってズレた剣の軌道を修正するのみ。
「うおおおぉぉぉっっ!」
俺は雄叫びをあげながら、ひたすらに唯剣を振るう。何度も何度も唯振り続ける。
何の手応えもない攻撃。
それがいつか役に立つことを信じて。
振り続ける。
シェネルの鱗を、店主の技を、俺の想いを込めた剣の連撃。
ーースッ
一瞬、剣に手応えを覚える。
ーーズッ
さらに強い手応えを覚える。
ーーズバッ
死神の体に深い斬撃の跡がつく。
来た!ついに死神の非実体化の限界がきている。
あとは完全に非実体化が解けるのを待って首を切り落とすのみ。
ただこれで戦いは第3ラウンドへと移る。
俺は攻撃が効くようになったことで、先ほどまでの速さでは剣を振るえない。
肉を斬るため今まで以上に力を込め、さらに肉に引っかかった剣を取りさらに次の一撃を放つにはこれまで以上に時間がかかる。
もちろん高速での攻撃は維持する。
だが先刻より遅くなるのは事実。
となれば死神も攻撃をするのが道理。
ここからが1番普通の、戦いになるだろう。
お互いに攻撃を放ち、攻防どちらも入り混じる。
負ける気は毛頭ない。
俺は先ほどのように。
「これで、ファイナルラウンド。お前の死場所だ、いやお前はもう死んでるのか?」
薄ら笑いを浮かべて言った。
そこからは一方的な戦いだった。
非実体化を失った死神は弱く、
俺の攻撃を一方的に受ける形となった。
始めは反撃をしてこようとしたものの、
俺はそれら全てを剣で弾き、防御した。
そして、死神の非実体化解除が全体までいったとき、俺は放った。
「はぁっ!」
至高の一撃を。
死神の首をまっすぐ捉えた俺の竜剣は、
いともたやすく死神の首を胴体から切り離した。
空に舞った骸骨首は、どこか清々しさのある表情をしていた。
こうして俺は、第49階層での戦いに勝利し、
5度目の休憩所、第50階層へと向かった。
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