第二章 古竜の巣篇
Episode 14『古竜の巣』
『古竜の巣』に入った俺は、今のところなんの障害もなく進んでいる。
何度か魔物に遭遇はしたものの、割と簡単に倒せる。暗い洞窟内をただひたすら進むだけだ。
ここは、第1階層とでも言うのだろうか。
まあ地面と同じ場所だ。1番下の階層で、ここからどんどん上に上がっていく形だな。
基本的には地球のラノベによくあるダンジョンみたいな感じなんだろう。
ただ一つ違うのは、この『古竜の巣』は上に上がっていくということか。
最上階層まで到達し、この試練をクリアすれば『超進化』という祝福のようなものが使えるという話だったが。
『超進化』を得て、強くはなれるだろう。
だが、強くなった後何をすればいいのだろうかという疑問がずっと自分の心から消えない。
地球に戻りたいという気持ちはあるが、
別にここの暮らしが悪いわけではない。冒険者は楽しいし、シェネルも一緒にいて楽しい。
一つ心残りなのは、キルス王城に残った茜のことだ。上手くやれているだろうか。
茜に会うことも一つの目標としてもいいかもしれない。茜が俺と再会したいと思っているかは分からないが、これからの俺の行動、地球に戻るかなども含めて、あいつの気持ちを聞いておく必要もある。
ならまあ、強くなってあの国の騎士団などを突破して茜と話せるほどの力を手に入れたら、そうするか。
そのためにはやはり、この『古竜の巣』を攻略しないと。
「おっ、これか」
道の先に見えたのは地面に描かれた魔法陣のようなもの。ちょうど俺がこっちの世界に召喚された時に教室にでてきたものと似ている。
こういった地面にある魔法陣のようなものは転移機能があるのだろう。
分かりやすいようにこの『古竜の巣』の中の魔法陣はワープポイントって呼んでおこう。
まあつまり、このワープポイントを踏めば次の階層に行けるわけか。
俺はワープポイントに乗り、青白い光に包まれながら、第2階層へと移動した。
第1階層は特に大した障害なく攻略を完了した。
今俺は第2階層に来てから10分程度しか経過していないが、すでに3匹の魔物と出会っている。
スライムやゴブリンといった雑魚中の雑魚だが、第一階層のときよりかは格段に会う回数が多くなっている。
やはり、階層が上がるごとに難易度、危険度も高くなるだろう。
最上階層まで行ったら竜食ってた最強のスライムでもいるのだろうか。
さて、第2階層まで来て1番最初に確認したのは、天井の高さだ。比喩でもなんでもなく、本当に天井の高さ、を確認したのだ。
それはなぜか。
全部で約何階層あるのか確認するためである。
だいたい第2階層は3mくらい、ここ、第2階層もだいたい3mだ。
外から見た山の高さが1500mくらいだったから・・・・いや単純計算で500階層くらいあることになるぞ。
特に障害のなかった第1階層でもワープポイントまで辿り着くのに20分はかかった。
これから階を経るにつれ戦闘は激しくなるだろうし、もっと時間がかかるだろう。
たとえ全階層20分程度だとしても×500で、寝ずにやったとしても1年以上は余裕でかかる。
やばいやばい。
流石にめんどくさいぞ、それは。
最上階層がめちゃくちゃ広くてそれだけで1000m使ってますとかいうのを期待するしかないな、こりゃ。
まあそれでも150階層以上はあることになるけど……
流石にそんな何年もかかることはないだろうと願いたいが。
気が遠くなるが、とりあえず頑張るしかない。
その後も特に問題なく3、4、5、6、7……と順調に進んでいく中、気がついた。
俺がこのダンジョン『古竜の巣』に入ったのは昼頃。それまではシェネルに乗って飛んでいたので昼食は取っていない。
それからだいたい3時間ほど経過した今。
最後にご飯を食べたのが朝だから、だいたい6時間以上何も食べてない!
しかも『古竜の巣』の中の魔物との戦闘でだいぶ体動かしてるのに!
「やばい、どうしよう・・・・・・・」
9階層まで来て空腹で倒れそうな俺であった。
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