Episode 12 その頃の御剣優弥



 《SIDE ; 御剣優弥》


 

 ーー同刻、キルス王城



「諸悪の根源である魔王が、ここから離れた遺跡『古竜の巣』をとても大切にしていることがわかりました。つまりそこに何か重大なものがあるはずです。勇者一行であるあなたたちにはそこを潰してもらいたいのです」


 僕たち、異世界から呼び出された勇者たちは、

キルス王国第二王女のミーシャ・ラクラス・キルスの演説を聞いていた。


 極悪人である魔王のせいでミーシャさんの顔は悲痛に歪んでいる。


 許せない……!


 願いの内容は、魔王が大切にしているという『古竜の巣』の破壊。



 僕はミーシャさんの演説を聞き、『古竜の巣』を絶対に破壊してみせると意気込む。


 そして、ミーシャさんを安心させるために声を上げた。


「分かりました、絶対に『古竜の巣』とやらを破壊します!」


 僕の言葉を聞いてミーシャさんはにこやかに微笑んだ。


「うん!ユウヤ君がそういうなら私も!」

「だな、ミツルギがそう言うなら俺も『古竜の巣』を頑張って破壊してみせる!」


 みんなも僕に共感してくれるみたいだ。


 魔王みたいな悪いやつは許せない。

だから僕はこうしてこの世界に平和をもたらしたいと思っている。



 僕たちは召喚された日から、毎日訓練をしている。それぞれの『祝福』にあった戦闘方法を研究し、その長所を伸ばすための訓練だ。


 僕の場合だと【勇者】なので、剣を使う戦闘がメインだ。剣筋を改善したり、より早く振れるようにしたりなどやらなきゃいけないことはたくさんある。


 でも世界に平和をもたらすためなら、この程度の努力、なんてことはない。

 


 ただ最近少し不安なことがあって、

それはクラスメイトの白瀬茜さんのことだ。


 【聖女】ということで毎日頑張っているようだが、どこか上の空な気がする。何か聖女としての仕事のほかに、思い悩んでいそうな感じがある。


 追放されてしまった藤原くんとも仲が良かったようだし、そのことで悩んでいるのかもしれないな。


 辛い思いをしたままだと可哀想だから、

今度僕が話しかけて励ますのもいいかもしれないな。



 とりあえず、僕はこれから急いでキツめの訓練をしようと思っている。『古竜の巣』にはたくさんの魔物がいるだろうし、初めての実戦という子もいる。


 僕はこれまでに何回か実際に外に出て魔物と戦ったことのない子は初めての魔物との戦いだと本来の力を発揮できないところもあるだろう。


 やはり僕がリーダーとしてちゃんとしないと・・・



 だから僕は絶対に『古竜の巣』を破壊しないと!

ミーシャさんやこの世界の人々に平和をもたらすために!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る