いろいろな考え方があるし、平等はあり得ない

第23話 SNSと偏った視点

SNSは、私たちの日常に欠かせない存在となっています。情報収集や交流の場として便利である一方、私たちの視点や価値観を無意識のうちに偏らせてしまう一面もあります。この「偏り」によって生じる影響を考え、どのようにバランスを取るべきかについて考察してみましょう。

SNSが作る「偏った世界」

SNSのアルゴリズムは、ユーザーが関心を持つコンテンツを優先して表示する仕組みになっています。これは非常に便利で、興味のある情報を効率よく得られる一方で、同じような意見や価値観ばかりが目に入る「フィルターバブル」を生む原因にもなります。

たとえば、政治的な意見や社会的な問題について、自分と同じ考えを持つ人々の投稿ばかりを見ていると、異なる意見や視点を目にする機会が減り、「自分の考えが正しい」という思い込みが強まることがあります。この偏りが、対立や分断を生む要因となるのです。

偏りがもたらす影響

1. 偏見や固定観念の強化

異なる意見に触れる機会が減ることで、自分の価値観や考え方が唯一の正解であると錯覚しやすくなります。その結果、他者の視点を理解しようとする努力が減り、偏見や固定観念が強まる可能性があります。

2. 情報の信頼性が揺らぐ

SNSでは、フェイクニュースや誇張された情報が拡散されやすい環境が整っています。偏った視点に基づいた情報を無批判に受け入れることで、誤った認識が広がるリスクがあります。

3. 自己肯定感の低下

他人の「幸せそうな投稿」を見続けることで、自分の生活が見劣りするように感じ、自己肯定感が低下することがあります。SNS上の「成功や楽しさ」の多くは演出されたものであることを忘れがちです。

偏りを減らすための工夫

SNSが偏った視点を生む仕組みを理解した上で、それに対抗するための方法を実践することが重要です。

1. 異なる意見に触れる

自分と異なる意見や価値観を持つ人々をフォローしたり、積極的に異なるジャンルの情報に触れることで、視野を広げることができます。

2. 情報の多様性を確保する

SNS以外の情報源（新聞、書籍、専門的なウェブサイトなど）にも目を向けることで、偏りを減らすことができます。特に、一次情報にアクセスする努力が重要です。

3. 情報を鵜呑みにしない

SNSで見た情報をそのまま信じるのではなく、必ず複数の情報源を確認する習慣を持ちましょう。異なる視点を比較することで、情報の真偽を見極めやすくなります。

4. SNSから距離を置く時間を作る

SNSに没頭しすぎると、現実の視点やバランスを失いがちです。意識的にSNSから離れ、現実の人間関係や活動に時間を割くことが、健全な視点を保つ助けとなります。

SNSとどう向き合うべきか

SNSは、便利で強力なツールである一方で、私たちの視点を狭める可能性も秘めています。その影響を理解し、意識的にバランスを取ることで、SNSを健全に活用することができるでしょう。

多様な情報や価値観に触れることで、私たちは自分自身の視野を広げ、偏りにとらわれない柔軟な考え方を養うことができます。SNSが作り出す「偏った世界」に飲み込まれるのではなく、自分の手で視点を広げていく――それが、情報化社会を生き抜くための鍵ではないでしょうか。