偶然が二度目なら…⑫
注文の列はまだ15人ほど並んでいる為、直ぐには順番が回ってこなそう。
「休日は何をされてるんですか?」
「休みの日?………仕事が終わらないことが多くて、丸々1日休める日は殆どないので、これと言って……」
「そうなんですね。料理はされるんですか?」
「ん~、温めるくらいの物しか家では殆ど……」
「では、今度作りに行きましょうか?」
「え?」
「栄養士の資格を持ってるので、料理は得意なんです」
「へぇ~。……でも、自宅には寝に帰ってるだけなので、自宅で食事することも殆どないし」
「じゃあ、お好きなものを作って職場に届けます」
「……」
何だか見てはいけないものというより、聞いてはいけないことを聞いてしまったような。ゴリゴリに押されてる見合い現場と思われる状況を目の当たりにする湊。
そのゴリゴリのアピールに押され気味で、完全に引き気味の男性こそ、久我検事。
何故、見合いと思われる場所ににビビットカラーのジャージ姿でいるのかも謎だが、職業柄、相手を言葉で攻めるのは得意そうなのに、完全に攻められている姿が何とも意外で。
その後も一方的な攻撃が続いて、さすがに彼の態度でも分かりそうなものなのに、相手の女性は一向に引く気ゼロのようだ。
そういえば、メールで『付き合って貰いたい』って言ってたっけ。もしかしたら、これを回避したかったのかもしれない。
注文の列を見ると、全く進んでいない。
「山ちゃん、ごめん。ちょっと買い物してくるから待ってて」
「え?」
「すぐ戻るから。それと、買ったら店の外で待機してて。すぐ帰れるように!いいわね?」
「……あ、はい」
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