偶然が二度目なら…③
俺達仲のいい友人の間には暗黙のルールがある。
犯罪に手を貸さない、金銭を貸さない、嘘を吐かないという3ルール。
頼み事をお願いした対価として、相手の要求を1つ呑むというもの。
「どんな子がいいんだ?」
「そうだなぁ……、あっ、あの子がいい!半年くらい前にあった飲み会に来てた音大卒のバイオニリストの子」
「……あぁ、あの子か。OK、近いうちにセッティングしとく」
「あざ~っす」
「じゃあ、問題の動画送っとくな」
「終わり次第、連絡入れますね」
「おぅ、悪いな」
皆川は女遊びが結構派手な奴。
だからと言って、揉めるようなことを起こすわけでもなく、20代を満喫しているのだろう。
皆川お目当ての女の子をセッティングするメモをスマホのスケジュールに入力した。
再び寝ようと試みるが、中々寝付けない。
すっかり目が覚めてしまったようだ。
「シャワーでも浴びるか」
気怠い体をリセットしようと浴室へ向かう。
***
濡れた髪をタオルで拭きながら、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを口に含む。
ベッドに腰掛け、スマホを立ち上げると。
「フッ、……仕事が早いな」
皆川からの完了メールが届いていた。
『お疲れ様。本当に助かったよ。早急にセッティングするから。それと、この件に関しては他言無用で頼む』
一応、念押しをしておく。
動画を削除しても話を拡散されたら元も子もない。
『分かってますって。ってか、あの女性って、女優の来栖 湊?外野の音声拾ったらそう聞こえたんですけど』
触れて欲しくない所を突いて来やがった。
『ノーコメント。遅いから早く寝ろ』
検事としての模範解答というより、一人の男として触れない方が妥当だと脳が判断した。
『うぃ~っす、先輩も早めに休んで下さい』
皆川がさっぱりした性格で助かった。
根掘り葉掘り聞かれても、返しようがない。
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