偶然が二度目なら…②

 動画サイトの運営会社を調べると、聞き覚えのある名前。

 その会社を更に調べると、なんと高校時代の後輩の家が経営する会社の子会社だと判明。

 深夜2時半少し前にも関わらず、その後輩に電話を掛けた。


 呼び出し音が十回ほど鳴った、その時。

 掠れた声の後輩(皆川みながわ あつし)が出た。


「……もしもし?」

「ごめん、こんな深夜に。寝てるとこ悪いんだけど、超特急で処理して貰いたい頼みがあって」

「はい?」

「おい、皆川、聞いてるか?」

「ん?………………柾先輩ですか?」


 寝ぼけているであろう皆川は携帯電話の画面を確認したのか、少し間をおいて俺の名を呼んだ。


「おぅ、悪いなこんな夜遅くに」

「あ、いや、それはいいんですけど……。頼みって何ですか?」

「個人的な頼み事なんだけど、今から送る動画を削除して欲しくて」

「動画を削除?……知り合いか何かですか?」

「……知り合いじゃなくて、俺なんだわ」

「は?……え、マジっすか?!」

「あぁ。言っとくが、別に悪い事したわけじゃないかなら?」

「分かってますって。じゃあ、動画を削除するだけじゃなくて、書き込みがあればそれも消します?」

「できれば」

「あと、内容にもよりますけど、ポリシー違反に該当してそうなら、投稿者のアカウントを凍結させる方向でOKですかね?」

「悪いな、マジで助かる」

「揉めたら、ちゃんとフォローお願いしますよ?」

「分かってるって」


 俺が検事だという事も勿論知ってる皆川はすっかり目が覚めたようで、会話がスムーズに運ぶ。


「で?」

「で?とは??」

「タダじゃないっすよね?」

「もちろん」

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