偶然が二度目なら…
偶然が二度目なら…➀
ピリリリリッ……ピリリリリッ……。
「……ん?誰だ、こんな時間に……」
深夜2時過ぎ。熟睡していた久我のスマートフォンが突如鳴り出す。
サイドテーブルの上に手を伸ばし、スマホを探している最中に着信音は途切れてしまった。
薄暗い中、漸く探し当てたスマホのディスプレイに表示されていたのは、『発信者 来栖 湊』という文字。
久我は重い瞼を押し上げ、上体を起こし、寝ぼけている脳内を覚醒させるために首を回し、指先を動かす。
こんな夜中に電話をかけてくるからには何かわけがあるのかもしれないと思った久我は、折り返し電話をかけようとした、その時。1通のメールを受信した。
『深夜にごめんなさい、来栖 湊です。先日の騒動の一件で、関係者へは事務所側が箝口令を布いたのですが、あの場にいた一般の方が出版社と動画サイトに情報を提供したようで。出版社の方は既に削除して貰えるように対処したのですが、動画サイトの方は少し時間がかかるようで、久我さんにご迷惑がかかりそうです。本当に申し訳ありません。出来るだけ早くに処理しますので』
いたな、あの場に何人か。興味本位で写メやら動画を撮りまくってた奴らが。
彼女が悪いわけじゃないのに。
逆に被害者であって、サイトの餌になるような犠牲を払う必要はどこにもない。
それよりも、名誉棄損や精神的苦痛を理由に慰謝料を請求出来るし、告訴しても妥当なほどだ。
さて、どうするか。
どんな動画サイトにアップされたのか、確認しようと検索し始めた、次の瞬間。2通目のメールを受信した。
そこには、とある動画サイトのURLと問題の動画が添付されていた。
すぐさまその動画を確認すると、一応モザイク加工と音声加工が施されているが、ほぼあの時のやり取りがアップされていた。
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