2-8 「竜太のドラゴンライダー学園」

https://kakuyomu.jp/works/16817330659190690045


◯タイトル


タイトルに人名は多けれど、日本式人名でフルネームでもなく名前だけってかなり珍しいのでは? 人を下の名前で呼ぶのは特別な関係でもなければ小学生くらいのことだったので、竜太という名前の語感も含め幼さが目立つ。

そして竜騎士であれば戦う方向で活躍するのだなと思えるが、ドラゴンライダーだと世界観次第でそれがまだどういう役職なのか特定できない。読み取れるのは先の情報が出てからか。


◯あらすじ


即座に主人公が小学校卒業の年齢であること、ドラゴンレースに挑む話であることが明かされた。疑問があっさり解決した。

実を言うとレースであることはキャッチコピーで見えていたのだが、本企画でキャッチコピーに言及する場を作っていなかったためにタイトルだけ見た一瞬の感覚を思い出すように上の部分を書いている。次回からタイトルに含めていいか。

世界チャンピオンを目指して!という締めではあるが、既に14話完結作品であることからもライバルとの勝負が決着になるコンパクトな物語になるのだろう。物語の最終目標、小目標共にはっきりしているが惹き込みはまだ弱いか。憧れの発端の描写で序盤に説得力が得られると強い。


◯書き出し


危うくプロローグを読み飛ばすという2-5のミスを繰り返すところだった。更に言えばこのミス、1-3でもやっている上に一度気づいた後にプロローグの日付だけ最近なのを見て、読んだ後にプロローグが追加されたのだと思ってしまった。それを作者の方にも伝えてしまったが、プロローグ追加日は自分が読んだより前であることにさらに後から気づきめちゃくちゃ失礼かましたじゃないかと反省している。

恥晒しな話はさておき、競龍会場にてドラゴンとドラゴンライダーにはしゃぐ主人公の竜太と父親。

まずい、注目すべきシーンなのに競龍って言葉に賭博やってそうという印象が先走り、憧れを読み取ろうとする前の強烈なノイズになっている。

少し手を置いてそのノイズを追い出せば、主人公の子供らしい様子が浮かんでくる。小難しく書くと主人公の幼さと食い違ってしまうかもしれないが、ここに憧れるに足る力強さの表現、主人公の動機の説得力が欲しい。


◯1話


一方、後のライバルになるチャンピオンの息子。

エリートまっしぐらで見る目も確か、だがそれだけあって人を見下す傲慢さを隠しもしないと、よくある形ではあるが対照的な構図が分かりやすく目立つ。レースを全力で楽しもうとする姿と決まり切った結果に心が動かない姿も対比になっている。

世界大会で十日間規模となると知っている知識の中では想像が追いつかない。日またぎのレースはド有名なところでスティール・ボール・ランくらいしか心当たりがないがあのような雰囲気になるんだろうか。

おそらく作品内でそこまで描かれることは無いだろうが、一瞬競馬・競輪と重ねてしまったイメージを取り払ってくれたようで助かる。


◯3話まで


年月飛んで父ちゃん死んでる…

コンパクトな物語と思った割にはすぐには学園に行かないなとは思ったが、停龍所、リューチューバーなどのこの世界独特の言葉は面白い。しかし推定ヒロイン枠がランミカと聞いて、実在人物の強いイメージが降りかかってきちゃったのは作品的には意図外だよね…?事故なんだけど今回この現象多くない?

途中過程は多少すっ飛ばしてくれたほうが好みだったが、3話にてちゃんとライバルが傲慢ムーブしてくれたので主人公の心にも火が付きこれで話の舞台が整ったというところ。

幼さの強く残る年齢の主人公の物語はやや読み慣れてないが、本作はそもそも小中学生向けファンタジー。物語の回る早さ等にも好みなラインとのズレは感じたものの、単にこの想定読者層と違う目線で読んでいたのが原因な自覚はある。小中学生は競龍って字を見ても博打に狂った人間を高解像度で思い浮かべない。


◯余談


本作作者のななくさ ゆう様。

この方、実は本企画に近い感想読み企画を同時期に開催されているのだが、覗いてみると共通参加作も多く色々興味深い事が分かってくる。

そちらへの言及は許可いただいてないので長々とは書かないが、視点の違いが気づきを与えてくれて面白い。ここまでの感想企画でも参加作作者の方から別の視点に感謝を頂いたことがあったが、こんな感覚だったのだろうか。

1-1の「鷲獅子王と戦姫の殺し愛婚姻譚」のタイトルで同じく漢字に躓いていたのはシンパシーで笑ってしまったが、2-2 「Nightfall-ブレイカーズ-」の英字を自分はNightとfallをくっつけただけの言葉だろうと雑に流したのに、こちらではしっかりそういう一単語があるところまで踏み込んでいて焦ってしまった。自分の雑さがよくよく目立つ。

そして自分の書く感想は人を意識せずに自分の中に生まれた感情を言葉で記録することに終始しているつもりで、だから常体口調になっている。一方こちらでは人を意識し、気に入ったものを読者に勧めるまでやっているので、そのあたりのスタイルの違いも興味深かった。

あともう十作分書き終えているので見習わなければならない。

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