第29話

「めんどくさぁ〜」


「そう言ったって、必修なんだし、あのハゲ先、無駄に出席に厳しいだろ」


「そうだけどさぁ〜……」



あ、ラッキー


ギリギリになっちゃったけど、後ろの席空いてるとこある〜


殴られたのは想定外だったけど、今日はついてるじゃ〜ん



「ほらよ」


「うひゃあ!!」


「殴られたとこ、それで冷やしとけ」



もぉ〜、びっくりしたじゃん!


普通に渡せばよくない!?


あ、でも、あたしの好きな桃のジュースだ


さっすがぁ、幸仁、気が利くじゃん



「はぁ〜あ」



このハゲ先、やたら厳しいくせに、授業内容はクソつまんないんだよな〜


レジュメ以上のことは何も話さないんだから、配るだけでよくない?


幸仁も真面目に受けちゃって〜


真面目と言えば、もう1人〜……あっ!いたいた!!


今日も前から2番目の、入口近いところに座ってる〜


あんなに前にいてハゲの反射に目ぇやられないの?


前5列くらい、サングラスしなくていいの?



「ぶふっ」



やば、自分で言っといて、めっちゃおもしろいんですけど


幸仁もそんな目で見ないでよ〜


待って、あと30分もある!ムリ、耐えらんない!!!



「うるせぇ……」


「!?いいいひゃいいひゃい!」


「だったら大人しく講義受けろ」


「だからってわざわざ手ぇ回してぶたれた方のほっぺたつねる必要ある!?」


「あるからそうしたんだ」



幸仁ってば、いじわるなんだから〜

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