第28話

友だちが使ってるペンケース、バッグ、アクセサリー、服……


気に入ったものは、全部自分の物にならないと気がすまなかった。


それに気がついたのは、小学校を卒業するくらいのとき。



卒業生の胸に飾られた花は、男子と女子で別れていた。

男子は青、女子はピンク。


ピンクの花もかわいかったけど、そのときあたしはどうしても青も欲しかった。



仲の良かった男子に「ちょうだい!」とお願いしても、「やだ!」と言われるばかりで、それに腹が立ち、無理やり奪い取った。


そのときの男子児童を突き飛ばしてしまい、相手はケガをした。


思ったりよりも大事になっちゃって、ママにはこっぴどく叱られた。



しかし、それにあたしが懲りることはなかった。


むしろ、人の物を奪うことに一種の快楽を覚えてしまい、中学、高校と、どんどんエスカレートしていった。



『自立する前に殺人と妊娠しなきゃ、それでいいわよ』



高校に上がる頃、ママはそう言ったきり、このことに関しては何も言わなくなった。


学校に呼ばれれば行くけど、家で小言を言われることも、叱られることもなくなった。



やりたい放題のあたしは、内申点なんてボロボロで。



でも就職する気なんてなかったから、高校卒業後は適当な私立の大学に進学して、今に至る。

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