第23話

未だに混乱する頭で、精一杯の返事を紡ぐ。



「私は……知っての通り、人を好きになることが分からない。だから、私と同じ空間で過ごしても、あなたには返してあげられるものがない。愛着くらいは湧くのかもしれないけど……愛情とか、きっと湧かないと思う」



彼は、じっと私の目を見つめる。



「それで、辛いも思いをするのはあなたなのよ?大学のときに思い知ったでしょうけど」


「ああ、そんなこともあったな」


「だからね、なににも縛られていないこの状況が、私はいいと思うのだけれど、それでも結婚したいと思うの……?」


「ああ、僕も大人になって色々経験した。その上で、君を僕のものにしたいと思ったんだ。君以外には、何もいらない」


「変な人ね」


「君に言われたくはないな」

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