第21話

翌朝、なにかの重みで目が覚めると、隣には彼、佐々木 広和が寝ていた。



「なんで……?」



と思わず呟くと、彼がうっすら目を開けた。



「んー?なんとなく……?」



と半分寝ながら答える。



いつも、彼が朝までいることは、決してない。



私が眠りについたあと、勝手に帰るのだ。



朝までいたことは、あの玄関先で待っていた1回きり。



寝起きで上手く頭の回らない私は、考えることを放棄した。



そのとき、不意に抱きしめられた。



「なあ、僕と結婚してくれないか?」



「えっ……?」



ケッコン……?ってあの、結婚……?



いきなりの発言に、回らない頭は完全に思考停止する。



何も返事がない私を訝しげに思ったのか、腕に隙間を空けて、顔をのぞきこんでくる。

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