第18話

なんだかんだこの関係が続いて3年近くになる。



恋愛は分からない私でも、性欲がないわけではない。



だからこうして時々やってくる彼を、追い返すことはしない。



「何の最新刊だったの?」


「夢乃ちゃんのやつよ。ほら、夢を渡って色んなことを経験して、夢乃ちゃんが成長していく物語」


「あぁ、あの昔流行ってたやつ」


「昔とは失礼な、今でも大人気なんだから」


「はいはい」



そんな話をしながら、シャワーを浴びて晩酌の準備に取りかかる。



その間彼はというと、こちらも勝手に過ごしている。


冷蔵庫を漁り、私が漫画を読んでいる間にシャワーを済ませる。



「そんなに時間かかるの?」


「2週目よ。じっくり読み込むんだから」



アルコールが入って少し気分の良くなった私は、布教活動を始めようと、ページをめくり「この表情がかわいい」だの、「ここは今までの伏線回収になっている」だの、彼に語りかける。

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