第17話

言ってしまえばどこにでもいそうな顔立ちの、少し背の高いこの男性は、佐々木ささき 広和ひろかずという。



実は大学のときの元彼で、就職してからバッタリ再会したあと、住む場所が近いらしく、こうして私の家に時々やってくるのだ。



「おかえり」


「いらっしゃい。食べるものって言っても、私の分しかないわよ」


「食べられるのは君だろう?」


「はぁ……いいからそういうの」



別に彼とは付き合っているわけじゃない。


いわゆる、セフレだ。



週末、私の予定はお構い無しに、こうやって押しかけてくる。



(今日は隅々まで読み切るつもりだったのに)



来てしまった彼は、するまでは絶対に帰らない。



一度、疲れすぎてすぐにベッドに倒れ込んだ日、メッセージに気づかず爆睡してしまった。


翌朝目が覚め、メッセージを読んですぐに玄関へ。


そこには、顔を真っ青にして震える彼の姿があった。


春とはいえ夜は冷え込む中、チャイムも鳴らさずに玄関先で待っていたのだ。


顔面蒼白の彼をお風呂に入れ、しかし身体を交えると、あっさりと帰っていった。


そんなことがあってからは、死なれては困ると週末は注意している。

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