第9話

彼は時々、こうして釘を刺してくる。


態度には出していないつもりだが、瞳は正直なのだろうか、義兄にはバレている気がする。


今のように目が合うと、必ず、姉しか愛さないから、と念を押すのだ。



そんなこと、知っている。



だって、私が一目惚れしたのは、あの雰囲気なのだから。



妹であっても、あの間に入る隙間はない。



それくらい、二人は信頼し合っていたし、幸せそうだった。


まさしく、二人で一人前、運命の人、とも呼ぶべき存在。



今のこの状況は、お互いに寂しさを埋めるための空間でしかない。



きっと私を見ていたのも、私を通して姉の面影を見ていたのだ。



2年経ったとはいえ、いつだって感傷には浸りたい。



でなければ、毎月マメにうちに来る理由がないもの。

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