第8話

すると、視線がかち合った。



「ん?どうした?」


「お義兄ちゃんこそ、私を見てたんじゃないの?」



心臓がバクバク音を立てる。


冷静を装うも、予想外の事態にきっと耳は赤い。



「そうだな、見てたかもな」



と、ニヤリと意地悪気に言う義兄は、どうやら確信犯のようだ。



「また揶揄って、生徒に嫌われるよ?主に私」


「それは困るな、貴重な美術部員が来なくなったら俺がサボれなくなる」


「それが本音か」


「まぁ、お前に好かれても、俺は茉莉亜一筋だからな、ごめんな」


「なんで私が告ってもないのに振られてんのよ」


「違うのか?」


「違うわよ」


「それは残念だ」


「勝手に振ったくせに残念とは、誠に勝手ね」

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