第7話

「というか、パパもママも、この日は帰り遅いんだから、食べてくなら下準備しておいてくれてもよくない?」


「お生憎様、俺は忙しいんでな」


「とか言いつつ、いつも私より先に家に上がってるくせに……」



なぜかドヤ顔の義兄あにに悪態をつきつつ、ニヤけそうになるのを必死にこらえる。



姉がいないという寂しさには慣れないが、こうして彼と過ごせるのは嬉しい。





鍋に食材を突っ込み、着替えるために一度自分の部屋へ向かう。


制服からラフな格好になると、カレーを完成させるまではリビングで適当に時間を潰す。



月に一回の、このなんでもない時間が、好きだ。



ゲームで競ったり、アニメを見たり、他愛もない話をしたり。



一回り以上も違うのに、意外にも話していてジェネレーションギャップを感じない。



きっと普段高校生と話しているから、話題には尽きないんだわ。


と勝手に納得しつつ、ゲームに夢中な義兄の横顔を盗み見る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る