第3話
頭を掴まれ、キャンバスに無理やり向かい合わせにされる。
「来月締切なんだから、描けるなら描いておけ。それじゃあ俺は準備室に戻るから、終わったら鍵返しに来いよ」
返事をする前に教室のドアが閉められる。
うちの学校の美術部の部室は、大抵私しか使ってない。
『必ずどこかの部活に所属する』という時代遅れな校則のせいで、ほとんどが幽霊部員だからである。
去年までは美術部の顧問はそこそこ有名なおじいちゃん先生が持っていたが、体調不良のため退職してしまった。
あのおじいちゃん先生がいないなら、という理由と、熱心にここを使っていた生徒が卒業してしまったのとで、いつも静まり返っている。
新見先生は、今年赴任してきたばかりだ。
しかし、なぜか人気もあるのにこの部活の「なんちゃって顧問」をしている。
「なんちゃって顧問」なので、今みたいに少し顔を出したらすぐに生物準備室に篭ってしまう。そのためか、先生に用事のある人はそっちで待っている方が多いのだ。
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