第34話

図書館の閉館のアナウンスが流れると、桂もスタジアムを出て、噴水の横のベンチに向かうのが日課になった。

「大原さん、今日も彼と待ち合わせ?」

仕事が終わり、更衣室で由美が冷やかして言った。

「ええ」

瞳は、気にせず受け答えした。

「いいなあ、瞳さん、ラブラブで」

沙希が、羨ましそうに言った。

「まあね」

瞳がのろけて言った。

「あーあ、私にも素敵な彼が現れないかしら」

「現れるわよ、きっと」

瞳は、真剣な顔で言った。

「そうだ、大原さん、隣のスタジアムの人達と合コンセッティングしてあげなさいよ」

由美が、瞳の肩をポンと叩いて言った。

「えっ?私が?そういうのはちょっと苦手なんですよね。合コンて行ったことないし」

「なら、彼のお友達紹介して下さい」

沙希も、手を合わせて頼んだ。

「わかったわ。誰かいないか訊いてみる」

瞳は返事に詰まりながらも、自分の責任を感じて渋々承諾した。

「ありがとう、瞳さん。楽しみだわ」

沙希は、もう彼ができたかのようにはしゃいで喜んでいた。

みんなは揃って、いつものように図書館から出てきた。

「お疲れ様でした」

それぞれに声をかけて、家路へと向かって行った。

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