第26話
美樹は、祐介の部屋の前に立ってチャイムを押した。シャワーを浴びて、ガウンをまとった祐介がドアを開けた。美樹はドアが閉まるのを待てずに、祐介の首に飛びつき、キスをした。
「今日は泊まってもいいでしょう?」
美樹が上目遣いで言った。
「ああ」
祐介は、気の無い返事をした。
「シャワー浴びてくる」
美樹はそう言うと、笑顔でバスルームに入っていった。祐介はソファに座り、シャンパングラスに口をつけた。
祐介と美樹は、高校三年の時、祐介が瞳を意識しだす前に、美樹に迫られて卒業までズルズルと付き合っていた。美樹が静岡の短大に行ったので、二人は遠距離になるとすぐに、お互い違う相手が出来て連絡も取らなくなり、自然消滅していた。それが先日ばったり再会し、美樹に強引にホテルに連れて行かれた祐介は、断りきれずにまた関係を持ってしまった。それから、二人で同級会の幹事をする話になり、打ち合わせと称して何度かホテルに行くうちに、美樹はすっかり祐介の彼女になった気分でいた。高校時代、祐介は何人もの女の子と付き合っていたが、関係を持つまで深く付き合ったのは美樹だけだった。 だから、祐介は美樹とはためらいもなく、そういう関係になれる。
バスタオルを巻いて、バスルームから出てきた美樹を、祐介は待ち構えていたかのようにベッドに押し倒した。
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