第22話

「それが?」

瞳が訊いた。

「俺、高校卒業してから、ずっと瞳のこと考えてた。大学でも言い寄ってくる女は沢山いたけど、付き合おうと思える女はいなかった。瞳の大学の前で待ち伏せしたこともあった。でも瞳に会えなかった。大学卒業して弁護士になったけど、大阪勤務になって東京に帰ってくるのは正月だけ。最近は帰ってくる度に親には見合いしろって言われて、うんざりしていた。今朝、家に寄ったのも二年振り。実家に帰るとまた親がうるさいから、親には、今日大阪に帰るって言ってホテル取った。俺、瞳に会えたら言いたいことがあったんだ。この前、日帰りの出張で東京来た時、偶然美樹に会って、同級会やりたいなって言ったら、俺が幹事やるなら一緒にやるって言ってくれてさ。それで、急だったけど同級会やったんだ。前回は俺、行かれなかったし」

瞳は祐介の話を、一つ一つ頷きながら聞いていた。

「さっき、未亡人だって言ってたよな?」

「うん」

「でも、彼氏いるって、ほんとに?」

「う・・ん」

「結婚するのか?」

祐介は、瞳が首を横に振るのを願いながら言った。

「まだわからないわ。彼とは、昨日知り合ったばかりだし」

瞳は、桂の顔を思い浮かべながら言った。

「昨日って?」

「あの勢いじゃ、明日にもプロポーズされたりして」

瞳はくすっと笑った。

「瞳・・・」

祐介が真剣な顔で言った。

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