第19話
瞳が席に戻ると一次会がお開きになり、二次会の場所を幹事がみんなに伝えているところだった。明日仕事だと言って、七人ほどは帰って行った。
「瞳も来るだろ?」
幹事の北村祐介が強引に誘った。
「・・うん」
瞳は桂の電話が気になって、帰ろうと思っていたので、祐介の言葉を上の空で聞いていた。
祐介と瞳は、小学校からの腐れ縁で、二人は高校まで何故かずっと同じクラスだった。瞳は小学校の頃から祐介が好きだったが、鈍感な祐介は取っ替え引っ替え、瞳以外の女の子と付き合っていた。高校の時はサッカー部のキャプテンで生徒会長だった祐介は、二股、三股は当たり前。さすがの瞳もそれを見て愛想を尽かし、祐介から離れていった。
祐介はそれまで何かと話しかけてきた瞳が、話しかけてこなくなった事に気付き、やっと瞳のことを意識するようになった。それも、卒業間近のことだった。瞳と祐介は、そのまま違う大学に進み、卒業以来会うこともなかった。前回の同級会には祐介が来なかったので、今日が14年振りの再会である。
二次会の店に向かう途中、祐介は瞳の横に並んで歩いた。
「次の店に行ったら、二人で抜けようぜ。話あるんだ」
「えっ?」
祐介は戸惑っている瞳の返事も聞かずに、
「俺が席立ったら、1分後に入り口に来て」
と言うと、先に店に入って行った。
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