第13話

「家、どこらへん?」

桂は、自転車を押しながら言った。

「今来た道を戻って、図書館から少し行ったところです」

「そうか。反対方向だったのか」

桂はバツが悪そうに頭を掻いた。

「大丈夫です」

二人は並んで歩き始めた。

「毎日走ってるって言ってましたけど、夜も走るんですか?」

「まあね。来月大会があるからさ。朝食の前に50Km走って昼間20Km走る。夜は走るか筋トレしてるな。本番は42,195Km走るから」

「そんなに?すごいですね。尊敬しちゃいます私なんて、多分、1kmも走れないですから」

「応援に来てくれる?」

桂は瞳の様子を伺いながら言った。

「優勝するなら行ってもいいですよ」

瞳が茶化して言った。

「大原さんが応援してくれるなら、新記録だって出しちゃうよ」

桂はテンションを上げながら、満面の笑みを浮かべた。

「まあ、それなら是非とも応援に行かなくちゃいけませんね」

瞳も笑って言った。

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