路地陽平
「陽平君、大丈夫?」
朝に路地陽平の周りにいた女子が駆け寄ってくる。
すかさず、女子3人と路地陽平の間に玉利朝日が入り壁を作る。
こんなよーへいの顔を見せられないし、空気読めない女子って最悪だわと玉利朝日は思った。
女子の言葉を無視し、男子更衣室に向かう路地陽平。
正直、人間じゃないやつらが話しかけてくるな鬱陶しいと思っていた。
誰よりも早く着替え終わると、鮮血学園の校門を出て行く。
校門を出た辺りから軽く耳鳴りがしたが、路地陽平にとっては我慢出来ないものでは無かった。
周りが騒がしくなり、ふと自分があてもなく歩いて人通りの多い街中にいることに気付く。
鮮血学園の制服は目立った。
学ランに近い形。
真っ白な生地を土台に、表の左肩から右腰、後ろ左肩まで矢車菊に似た花びらと有名ブランドヘルメスのブラソンのマークが等間隔にデザインされ、デザインされている部分は金糸の刺繍だ。
そして、デザインされた内側は真っ赤。
第一ボタンはルビーで出来ており、第二ボタン以降もルビーだが、隠しボタンになっている。
ベルトは上質なコードバン。
パンツの右側にも上着とは事なるデザインで金糸の刺繍がされており、その内側は真っ赤。
その目立つ制服を良しとする者もいるだろうが、ただでさえ金髪に青い目で目立つ顔立ちの路地陽平は、声をかけられるのが嫌でお抱え運転手で鮮血学園に行っていた。
人に声をかけられたい気分では無いので急いでタクシーを探し乗り込む。
「ペニシュラーホテルまで」
ホテルに着くと、ドアマンがすかさず駆け寄り、降りる座席の上に手をそえる。
路地陽平が降りると挨拶をする。
「お帰りなさいませ。路地様」
そして他のドアマンが、路地陽平が通りやすいタイミングで自動ドアを開け、同じく挨拶をしてくる。
鮮血学園に通うのが決まり次第、ここのプレジデントスウィートを3年分借りた。
専用エレベーターに乗り部屋に入るなりワインセラーに向かい、赤を選ぼうとしたが止めて白にした。
自動のワインオープナーで開けている間に制服を脱ぎ、青色のTシャツと薄い灰色のゆったりとしたパンツに着替える。
空いたワインとグラスを持って、窓際のソファーにかけ、グラスにワインを注ぐと1杯目は勢いよく飲み干した。
パンツのポケットから、玉利朝日に貰った錠剤のドラックを口に含み、2杯目のワインで飲む。
少し経つと、ふわふわとした心地良い感覚に包まれてきた。
水中に沈む。
最初は、無重力に近い感覚が気持ちいい。
だが、そのうち息が苦しくなる。
もがくが上に上がれない。
泳げるはずなのに何故と思う。
そばに誰かがいて喋っている。
「骨も残りませんが、宜しかったかな?」
「良い。役立たずはいらん」
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